若狭彦神社(読み)わかさひこじんじゃ

精選版 日本国語大辞典 「若狭彦神社」の意味・読み・例文・類語

わかさひこ‐じんじゃ【若狭彦神社】

福井県小浜市龍前にある神社。旧国幣中社。祭神は若狭彦大神(彦火火出見尊(ひこほほでみのみこと))、若狭姫大神(豊玉姫命(とよたまひめのみこと))を上宮・下宮二社に奉斎。下宮は若狭姫神社(遠敷神社)ともいう。創建は上宮が霊亀元年(七一五)、下宮が養老五年(七二一)で、漁業守護神として信仰を集めている。奈良東大寺若狭井の水源は当社の鵜の瀬まで続いているとされ、東大寺二月堂の御水取行事に関連する送水の神事が行なわれる。若狭国一の宮。

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デジタル大辞泉 「若狭彦神社」の意味・読み・例文・類語

わかさひこ‐じんじゃ【若狭彦神社】

福井県小浜市にある神社。祭神は上宮に彦火火出見尊ひこほほでみのみこと、下宮(若狭姫神社)に豊玉姫命。奈良東大寺二月堂の若狭井へ通じているというの瀬で、送り水神事が行われる。上下宮。若狭国一の宮

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日本歴史地名大系 「若狭彦神社」の解説

若狭彦神社
わかさひこじんじや

[現在地名]小浜市竜前

竜前りゆうぜんの南側山麓、彦野ひこのに鎮座する。「延喜式」神名帳に載る遠敷おにゆう郡「若狭比古ワカサヒコノ神社二座名神大」の一座で、他の一座若狭姫神社が若狭国鎮守二宮(下社・下宮)であるのに対し、若狭国鎮守一宮(上社・上宮)とされる。また両社を合せて若狭比古(彦)神社とよばれ、若狭国鎮守一二宮と通称された。「三代実録」貞観元年(八五九)一月二七日条に神階が従二位勲八等より正二位に進んだとあり、享禄五年(一五三二)の神名帳写(小野寺文書)には「正一位勲三等 若狭彦大明神」とある。祭神天津彦火火出見あまつひこほほでみ尊。旧国幣中社。

近江・若狭・越前寺院神社大事典〉

〔創建伝承〕

創祀は確定できないが、若狭国鎮守一二宮縁起(若州管内社寺由緒記)によれば、上宮とも号する一ノ宮は霊亀元年(七一五)九月一〇日、若狭国遠敷郡西さい郷のうち霊河の源にある白石の上に初めて垂迹した。その姿は俗体で唐人のようであり、白馬に乗り白雲の上にいた。いまの若狭彦大明神である。眷属八人のうち剣をもった童子が一人おり、節文という。当郷多田ただ嶽の北東の麓に草の宿をつくり、杉の葉で覆い、仮の御在所とした。七日がたつと、若狭彦の乗った馬を促し、あまねく郡県をみて神館の地を選び、霊廟の堺を計った後、もとの所に帰った。

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改訂新版 世界大百科事典 「若狭彦神社」の意味・わかりやすい解説

若狭彦神社 (わかさひこじんじゃ)

福井県小浜市に鎮座。上・下両社よりなり,上社は同市竜前(りゆうぜん)にあって若狭彦神(彦火火出見尊のことと伝える)をまつり,下社は同市遠敷(おにゆう)にあって若狭比咩神(豊玉姫命のことと伝える)をまつる。《若狭国一宮縁起》で上社は715年(霊亀1),下社は721年(養老5)の創建と伝える。770年(宝亀1)朝廷より鹿毛馬1頭を奉納,806年(大同1)封戸10戸を納め,神階は859年(貞観1)若狭彦神が正二位に,若狭比咩神が従二位に叙せられた。延喜の制で2座ともに名神大社,のち両社あわせて若狭国一宮とされる。以後朝野の崇敬をうけ,ことに守護,領主,藩主がよく崇敬保護をした。旧国幣中社。例祭は上社10月10日,下社3月10日。社地内の遠敷川鵜瀬は,奈良東大寺二月堂若狭井に通ずる水源として信仰され,その御水取行事(修二会)に関連し,送水神事がある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「若狭彦神社」の意味・わかりやすい解説

若狭彦神社
わかさひこじんじゃ

福井県小浜(おばま)市竜前(りゅうぜん)に鎮座。旧国幣中社。『延喜式神名(えんぎしきじんみょう)帳』に載る「若狭比古(ひこ)神社二座(名神大)」の一座で、上(かみ)社にあたり、天津彦火火出見尊(あまつひこほほでみのみこと)を祀(まつ)る。下(しも)社は若狭姫神社と称し、豊玉(とよたま)姫を祀る。両社あわせて若狭彦神社と称することもある。社伝(『若狭国鎮守十二宮縁起(えんぎ)』)によれば、715年(霊亀1)の創建で、以後『六国史(りっこくし)』等にその名がみえる。鎌倉初期には若狭国一宮(いちのみや)として当地の有力社であり、以後も朝野の崇敬を集めた。例祭は上社が10月10日、下社は3月10日である。宝物には「若狭国鎮守十二宮社務代々系図」や1303年(嘉元1)成立の「詔刀(のりと)次第」があり、ともに国の重要文化財。なお奈良東大寺の御水取にあたり、当地で送水神事が行われる。

[平泉隆房]


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百科事典マイペディア 「若狭彦神社」の意味・わかりやすい解説

若狭彦神社【わかさひこじんじゃ】

福井県小浜市(上宮は竜前,下宮は遠敷(おにゅう))に鎮座。旧国幣中社。若狭彦神・若狭比【め】(ひめ)神をまつる。両神は彦火火出見(ひこほほでみ)尊と豊玉姫命のことであると伝える。奈良時代の鎮座といい,延喜式内の名神大社とされ,若狭国の一宮を称した。例祭は上宮10月10日,下宮3月10日。漁業の守護神として信仰される。東大寺二月堂の御水取に関連ある鵜(う)の瀬が境内にあり,御水取の当日,送水神事がある。
→関連項目小浜[市]

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デジタル大辞泉プラス 「若狭彦神社」の解説

若狭彦神社

福井県小浜市にある神社。奈良時代の創祀と伝わる。祭神は彦火火出見尊(ひこほほでみのみこと)。若狭国一之宮の上社にあたる。下社は「若狭姫神社」。海上安全や大漁の守護神として知られる。

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