生体に投与された化学物質が生体の生理作用に変化をもたらしたとき、これを薬理作用といい、薬物が生体に及ぼす作用であり、本来生体がもっている機能を量的に変化させるものである。薬理作用の型式には興奮、抑制、刺激があり、このほかホルモンやビタミンなど生体の生理機能上必要な物質の不足している場合に、これを補う補充作用と、病原寄生体に作用する抗感染作用とがある。このうち、興奮作用は特定の器官・組織・細胞の機能を促進あるいは増強することであり、抑制作用を除去することも興奮作用となる。その作用は一般的に可逆的である。抑制作用は特定の器官・組織・細胞の機能を阻止、減弱あるいは低下させることで、この作用も多くは可逆的であるが、持続時間の長いときは機能が低下し、非可逆的となる。このような場合を麻痺(まひ)とよんでいる。刺激作用は、薬物が非特異的に作用して栄養、成長、形態に変化を与えることをいい、炎症、腐食、壊死(えし)などをおこすような場合をいう。一般的にこの作用は、軽度の場合には器官や組織に対して興奮作用となる。
薬理作用の発現を時間的に考えた場合、直接作用と間接作用、あるいは一次的作用と二次的作用があり、作用の持続時間からは一過性作用と持続性作用に分けられる。また、作用の及ぶ範囲からは局所作用と全身作用に分けられる。さらに、薬理作用は、特定の臓器や器官に現れる選択的作用と、生体細胞一般に作用する一般作用とがある。治療学的には主作用と副作用とに分けられるが、これは目的とする作用を主作用と考えるだけで、いずれも薬理作用である。
薬物の作用、すなわち薬理作用は、効果細胞の細胞膜の物理化学的性質を変えたり、受容体(レセプター)に薬物が結合することによって現れるが、これを直接作用といい、ある作用によって二次的に現れる作用を間接作用という。時間的に考えた場合に該当する。このほか、細胞内にある酵素系に作用し、その結果として薬理作用の現れる場合もある。薬物の化学構造と薬理作用との間になんらかの関連があることがみいだされ、構造‐活性相関が研究の対象ともなっており、新しい有効な薬物の開発に役だっている。
[幸保文治]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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