寺社建築に用いられる,台形の斜辺に繰形(くりかた)をつけたような材。板蟇股と本(ほん)蟇股がある。板蟇股は虹梁(こうりょう)などの上において棟木(むなぎ)や天井桁(げた)をうける構造材で,奈良時代から使われた。はじめは厚くて丈が低かったが,のちには丈の高いものもある。本蟇股は組物(くみもの)の中備(なかぞなえ)に用いる装飾材で,板蟇股の内部をくり抜いて蛙が足を開いたような形となり,平安後期から例がある。内側の彫刻は,時代とともにしだいに複雑となり,桃山時代にはさらに厚みを増し華麗になった。蟇股は時代の特徴をよく表していて,建立年代判定の手がかりとなる。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
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