訴訟事件の審理・裁判をすることを職務とする公務員。日本の現行制度では,裁判官は公選制ではなく,任命制となっている。また,日本では,大多数の者が,法曹資格取得後他の法律職(検察官,弁護士等)に就くことなく,はじめから裁判官に任命され,その組織の中で養成され,順次昇進,昇給していくのが普通であり(キャリア・システム),他の法律職としての経験が豊富な者の中から,裁判官を任命するという法曹一元の理念は,実現されていない。諸外国で見られる,法律の専門家でない素人が,裁判官または参審員(参審制)として審理に直接関与する制度は,日本にはないし,陪審制も現在,実施されていない。
日本の現行法上,裁判官は,最高裁判所長官,最高裁判所判事,高等裁判所長官,判事,判事補,簡易裁判所判事の6種類がある。最高裁判所長官は,内閣の指名に基づいて天皇が任命し(憲法6条2項),最高裁判所判事は,内閣が任命し天皇が認証する(79条1項等)。これらの裁判官には,任期の定めはないが,任命後初めて行われる衆議院議員総選挙の際,国民審査に付され,投票者の過半数が罷免を可とする場合は,罷免される(79条2,3項)。高等裁判所長官以下の下級裁判所の裁判官は,最高裁判所の指名した者の名簿により,内閣が任命するが(80条1項),高等裁判所長官については天皇が認証する(裁判所法40条)。これらの下級裁判所裁判官の任期は10年であるが,再任は可能であり,実際には大半の者が再任されている。なお,下級裁判所の裁判官が,具体的にどの裁判所に所属するかは,最高裁判所がきめる(補職-裁判所法47条)。判事は,高等裁判所,地方裁判所,家庭裁判所に,判事補は地方裁判所,家庭裁判所に配属される。
司法の独立の理念から,裁判官は,その良心に従い独立してその職務を行うものとされ,憲法および法律以外のなにものにも,拘束されない(憲法76条3項)。この裁判官の独立を保障するため,裁判官には強い身分保障が与えられる。すなわち,裁判官は,本人の願出によるとき,定年に達したとき,禁錮以上の刑に処せられるなど任命の欠格事由に該当することとなったとき,回復困難な心身の故障のため職務を執ることができないと裁判されたとき(裁判官分限法1条1項),弾劾裁判所によって罷免の裁判を受けたとき,最高裁判所の裁判官につき国民審査の結果罷免されるとき,のほかは免官されることはない(憲法78条等)。在任中,その報酬を減額されることもない(79条6項,80条2項)。また,その意に反して,転官,転所,停職をさせられることもない(裁判所法48条)。裁判官が職務上の義務に違反したとき,職務を怠ったとき,または品位をはずかしめる行為をしたときは,懲戒処分を受けるが(49条),その場合でも,処分の内容は戒告または1万円以下の過料であって(裁判官分限法2条),一般の公務員のような免官,停職,減俸の処分はなされないし,懲戒処分を行うのは裁判所であって,行政機関はこれをなしえない(憲法78条)。このような特別な身分保障がある結果,裁判官は,国家公務員法上,人事院の管理に属さない特別職の国家公務員とされており,給与面においても,一般職の公務員に比べて優遇されている。
裁判官は,裁判所という機関(訴訟法上の意味の裁判所)を構成して,事件の裁判を行うが,複数の裁判官で一つの裁判所(合議体)を構成する合議制と,1人の裁判官が単独で裁判所となる単独制とがある。ただし,判事補は,単独で裁判することは原則としてできず(例外は民事訴訟法123条,刑事訴訟法45条,少年法4条等),合議体の裁判長になることもできず,また,同時に2名以上が合議体に加わることもできない(裁判所法27条2項)。もっとも,当分の間,5年以上の経験のある判事補のうち,最高裁判所の指名する者は,以上の職権の制限を受けず,判事と同様の権限を与えられるものとされており,これを特例判事補という(〈判事補の職権の特例等に関する法律〉1条)。地方裁判所において単独制で審理がなされる場合,事件の係属した裁判所(裁判官)は,当該裁判官が所属する部または支部の判事補1名を審理に立ち会わせ,意見を述べさせることができる。これを参与判事補といい,単独制が原則の地方裁判所で,判事補の訓練の機会を増やすために,1972年に最高裁判所規則により,導入された。
最高裁判所はつねに合議制をとり,大法廷は15名,小法廷は5名の裁判官で合議体を構成する。高等裁判所もつねに合議制であり,原則として3名,特別の場合(裁判所法18条2項)は5名の裁判官で合議体を構成する。これに対して,地方裁判所および家庭裁判所は原則として単独制をとり,合議制(3名で構成)をとるのは特別の場合である(26条,31条の4)。簡易裁判所はつねに単独制をとる(35条)。合議体を構成する裁判官のうち1名は裁判長として,他は陪席裁判官として職務を執行する。裁判長は,合議体を代表して訴訟の指揮や法廷の秩序の維持にあたり,また,期日の指定,訴状の点検など,固有の権限に基づく訴訟行為を行い,さらに,裁判の評議を開いて,これを整理する(75条2項)が,評決にあたっては,陪席裁判官と同等の権限を有するにすぎない。裁判長は,必要な場合には,合議体の一員たる裁判官を指名して,裁判所外での証拠調べや和解の勧試など特定の訴訟行為を,合議体に代わって単独で,行わせることができる。これを受命裁判官という(民事訴訟法88条,89条,185条,刑事訴訟法125条,163条等)。
事件の係属している裁判所は,他の裁判所に,証拠調べの実施など特定の事項の処理を嘱託することができる。このような裁判所間の協力関係を司法上の共助といい,また,嘱託事項を現実に担当することとなった裁判官を受託裁判官という。
裁判官は,その本来の裁判事務を行うほか,それに付随する司法行政事務を行う。司法行政事務とは,裁判官その他の裁判所職員の任免,配置,監督,庁舎など施設の設営,管理等の事務であり,司法の独立を実質的に保障するため,この点も,行政機関ではなく,裁判官の職務とされているのである。特例判事補以上の裁判官は,所属裁判所の裁判官会議の一員としてこの司法行政事務を行う(裁判所法12条,20条,29条,31条の5)。
司法行政事務に関しては,裁判官は,所属の裁判所(簡易裁判所の裁判官は所管の地方裁判所)および所管の上級裁判所,究極的には最高裁判所の監督を受ける(80条)。この点,前述のように裁判事務について,裁判官の独立が保障されているのとは異なる。
裁判官は,裁判官の身分のまま,最高裁判所事務総局の事務総長,事務次長,各局長,課長等として,司法行政事務をつかさどることがある。また,裁判官が司法研修所,裁判所書記官研修所または家庭裁判所調査官研修所の教官にあてられ,司法修習生,裁判所書記官または家庭裁判所調査官の研修に関する事務を取り扱うことがある。さらに,裁判官が,最高裁判所,高等裁判所または地方裁判所の裁判所調査官(57条)として,各裁判所の裁判事務の補佐をすることもある。
日本の近代的裁判官制度は,明治維新に始まった。当初は,太政官,ついで司法省が裁判権をもち,最上級の裁判所であった司法省裁判所の所長は司法卿が兼ねたので,司法は行政から十分に独立していなかった。しかし,1875年に大審院が設置されて司法省に代わって裁判権をもつに至り,司法省は司法行政権だけをもつことになった。大審院の下には,上等裁判所および府県裁判所が設置され,これらの裁判所に,判事および判事補が置かれたが,府県裁判所が設置されなかった県では,行政官である県令参事が判事を兼任する例もあった。86年には裁判所官制が定められ,裁判官の任用資格および身分保障について規定が置かれた。89年,大日本帝国憲法が制定され,司法権の行政権からの独立が宣言され(大日本帝国憲法57条1項),また裁判官の身分保障を規定し(58条),裁判官の資格は法律で定めることとした。そして,これを受けて,翌年に制定された裁判所構成法では,裁判官の官名はすべて判事とされ,終身官とされた(裁判所構成法67条)。もっとも,1921年の改正により,大審院長は65歳,その他の判事は63歳で定年退職するものとされた。以上の制度は第2次世界大戦まで続き,その終結後,47年に日本国憲法および裁判所法が施行され,現在の制度に変わった。
(1)イギリス 裁判官は弁護士としての経験を積んだ者から任命され(法曹一元),昇進制度はない。裁判官の頂点に位する大法官Lord Chancellorは,国王が首相の推薦によって任命するが,その地位は他の大臣と同様であり,身分保障はない。大法官について,資格の定めはないが,バリスターbarrister-法廷弁護士の称号を有する者の中から,任命されるのが通例である。貴族院House of Lordsおよび控訴院Court of Appealの裁判官は,首相の助言に基づいて国王が任命し,高等法院High Courtの裁判官は,大法官の助言に基づいて国王が任命し,このほかの裁判官は大法官が任命する。これらの裁判官は定年に至るまでその職にとどまることができ,法律上は議会両院の決議によって罷免されることがありうるが,近年はその例はない。裁判官の任命資格として,一定期間(貴族院,控訴院の裁判官の場合は15年,高等法院の場合は10年など)のバリスターとしての実務経験が要求される。しかし,治安判事は法曹資格のない素人裁判官であって,身分保障も与えられない。なお,正式起訴状による刑事事件の第一審については,陪審審理に付されるが,民事事件では,陪審審理に付すか否かは,裁判官の裁量にまかされており,実際にもごく一部の事件でしか行われていない。
(2)アメリカ合衆国 裁判官は,他の法曹(弁護士だけでなく,政府機関や民間会社の法律専門家,裁判所調査官,大学教授などを含む)として経験を積んだ者から任命され(法曹一元),昇進制度はない。連邦の裁判官は,大統領が,上院の承認を得て,任命する。連邦裁判官は終身官であり,弾劾による以外,罷免や俸給の減額を受けることはない。州の裁判官の任命方法は,各州により異なるが,公選制または州民審査制をとる場合が多く,このほか,超党派的な諮問委員会の推薦に基づいて知事が任命する方式をとる州もある。また,大多数の州が10年以下の任期を設けている。連邦裁判所のすべての刑事事件および民事事件のうちコモン・ロー上の訴訟については,陪審審理が保障されており,州の裁判所でも,同様に陪審制度が重視されている。
(3)ドイツ連邦共和国 司法権は,通常裁判所,労働裁判所,行政裁判所,財政裁判所および社会裁判所の五つに分属していて,それぞれにつき,各州の下級裁判所と連邦の最上級裁判所とがあり,このほかに違憲立法審査権をもつ憲法裁判所が連邦および州にある。それぞれの裁判官にも違いがみられるが,中心となるのは,キャリア・システムの職業裁判官である。職業裁判官は,第1回司法試験合格後実務修習を終え,第2回司法試験に合格した者の中から,まず司法官試補として試用され,その後,正規の裁判官に任命される。裁判官は,終身官であり,法律に定める裁判による場合のほか,その意に反して,罷免,停職,転職,休職の処分を受けることはない。他方で,非専門家を市民のなかから裁判官として加えて合議体を構成することも目だつ(以下素人裁判官と呼ぶ)。比較的軽微な刑事事件の一部は,参審裁判所において,参審員と呼ばれる素人裁判官の関与によって審判される。殺人などの重罪事件は,陪審裁判所Schwurgerichtで審判されるが,現在陪審制は実施されておらず,陪審員Geschworeneは素人裁判官として職業裁判官と合議体を構成する形で関与する。さらに,商事事件については,地方裁判所の商事部において,商事判事と呼ばれる素人裁判官の関与によって審判され,ほかに,労働,行政,財政,および社会の各裁判所でも,素人裁判官が関与している。
(4)フランス 民事・刑事の通常裁判所および破毀院の裁判官は,キャリア・システムの職業的裁判官であり,法学士またはそれと同等の学力を有する者の中から競争試験により採用された司法修習生が,国立司法学院École Nationale de la Magistratureでの2年間の修習を経て,裁判官に任命される。裁判官には,終身的身分保障が与えられ,大統領,司法大臣および裁判官,学識経験者などから大統領が任命する委員からなる,司法官職高等評議会Conseil Superieur de la Magistratureの裁決によらなければ,罷免,停職,降任,転任などの処分を受けることはない。商事裁判所と労働審判所の裁判官は,選挙で選ばれた無報酬の素人裁判官である。小作関係同数裁判所,社会保障裁判所,少年裁判所および国家公安法院の裁判官は,上記の職業裁判官と選挙その他の方法で選ばれた素人裁判官からなる。さらに,重罪院および未成年者重罪院は,陪審制がとられ,職業裁判官と陪審員によって構成されている。
執筆者:上原 敏夫
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裁判所職員のうち裁判権および司法行政権を実行する機関を構成する公務員をいう。イギリスでは裁判官judgeの資質として、公平であること、哀れみ深いこと、高潔であること、決心を曲げないことが要請されているが、日本でも同様であろう。
[内田一郎]
裁判官には最高裁判所長官、最高裁判所判事、高等裁判所長官、判事、判事補、および簡易裁判所判事の別がある(裁判所法5条)。
[内田一郎]
最高裁判所の裁判官は、識見の高い、法律の素養のある年齢40年以上の者のなかからこれを任命する。そのうち少なくとも10人は、10年以上高等裁判所長官および判事の職の一つもしくは二つにあった者、または高等裁判所長官、判事、簡易裁判所判事、検察官、弁護士、別に法律で定める大学の法律学の教授または准教授の職の一つもしくは二つ以上にあってその年数を通算して20年以上になる者などの資格を要する(裁判所法41条)。高等裁判所長官および判事は、判事補、簡易裁判所判事、検察官、弁護士、裁判所調査官、司法研修所教官または裁判所職員総合研修所教官、別に法律で定める大学の法律学の教授または准教授の職の一つまたは二つ以上にあってその年数を通算して10年以上になる者などのうちからこれを任命する(同法42条)。判事補は、司法修習生の修習を終えた者のなかからこれを任命する(同法43条)。簡易裁判所判事は、一定の有資格者のなかからこれを任命するほか、選考任命も行われる(同法44条、45条)。
[内田一郎]
任命の欠格事由については、裁判所法以外の法律の定めるところにより一般の官吏に任命されることができない者のほか、禁錮以上の刑に処せられた者、弾劾裁判所の罷免の裁判を受けた者の一つに該当する者は、これを裁判官に任命することができない(裁判所法46条)。
裁判官の任命は、最高裁判所長官については、内閣の指名に基づいて、天皇がこれを任命する(憲法6条2項、裁判所法39条1項)。最高裁判所判事は、内閣でこれを任命する(憲法79条1項、裁判所法39条2項)。最高裁判所判事の任免は、天皇がこれを認証する(裁判所法39条3項)。高等裁判所長官、判事、判事補、簡易裁判所判事は、最高裁判所の指名した者の名簿によって、内閣でこれを任命する(憲法80条1項前段、裁判所法40条1項)。高等裁判所長官の任免は、天皇がこれを認証する(裁判所法40条2項)。下級裁判所の裁判官は、その官に任命された日から10年を経過したときは、その任期を終えるものとし、再任されることができる(同法40条3項)。
補職については、下級裁判所の裁判官の職は、最高裁判所がこれを補する(同法47条)。たとえば、甲判事を東京地方裁判所判事に補するというようなのがこれである。
[内田一郎]
すべて裁判官は、その良心に従い独立してその職権を行い、憲法および法律にのみ拘束される(憲法76条3項)。判例は、裁判官が良心に従うというのは、裁判官が有形無形の外部の圧迫ないし誘惑に屈しないで自己の内心の良識と道徳観に従うという意味であるとしている。裁判官の独立は、司法権の独立の根幹をなすものであり、司法権の独立は、1891年(明治24)の大津事件で実質的に確立された。また司法行政の監督権は、裁判官の裁判権に影響を及ぼし、またはこれを制限することはない(裁判所法81条)。
[内田一郎]
裁判官は、裁判により、心身の故障のために職務をとることができないと決定された場合を除いては、公の弾劾によらなければ罷免されない。裁判官の懲戒処分は、行政機関がこれを行うことができない(憲法78条)。最高裁判所の裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、これを減額することができない(憲法79条6項)。下級裁判所の裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、これを減額することができない(憲法80条2項)。裁判官は、公の弾劾または国民の審査に関する法律による場合、および別に法律で定めるところにより心身の故障のため職務をとることができないと裁判された場合を除いては、その意思に反して、免官、転官、転所、職務の停止または報酬の減額をされることはない(裁判所法48条)。
[内田一郎]
最高裁判所の裁判官の任命は、その任命後初めて行われる衆議院議員総選挙の際、国民審査に付し、その後10年を経過したのち初めて行われる衆議院議員総選挙の際さらに審査に付し、その後も同様とする。この場合において、罷免を可とする投票が可としない投票より多い裁判官は罷免される。審査に関する事項は法律でこれを定める(憲法79条2項~4項)。最高裁判所裁判官国民審査法がこれである。
[内田一郎]
国会は、罷免の訴追を受けた裁判官を裁判するため、両議院の議員で組織する弾劾裁判所を設ける。弾劾に関する事項は法律でこれを定める(憲法64条)。裁判官弾劾法がこれである。弾劾により裁判官を罷免するのは、(1)職務上の義務に著しく違反し、または職務を甚だしく怠ったとき、(2)その他職務の内外を問わず、裁判官としての威信を著しく失うべき非行があったとき、である(裁判官弾劾法2条)。裁判は、審理に関与した裁判員の過半数の意見による。ただし、罷免の裁判をするには、審理に関与した裁判員の3分の2以上の多数の意見による(同法31条2項)。裁判官は、罷免の裁判の宣告により罷免される(同法37条)。
[内田一郎]
裁判官は、職務上の義務に違反し、もしくは職務を怠り、または品位を辱める行状があったときは、別に法律で定めるところにより裁判によって懲戒される(裁判所法49条)。裁判官分限法がこれである。裁判官の懲戒は、戒告または1万円以下の過料とする(裁判官分限法2条)。
[内田一郎]
最高裁判所の裁判官は、法律の定める年齢に達したときに退官する(憲法79条5項)。下級裁判所の裁判官は、法律の定める年齢に達したときには退官する(憲法80条1項但書)。すなわち、最高裁判所の裁判官は年齢70年、高等裁判所、地方裁判所または家庭裁判所の裁判官は年齢65年、簡易裁判所の裁判官は年齢70年に達したときに退官する(裁判所法50条)。
[内田一郎]
裁判官は、在任中、次の行為をすることができない(裁判所法52条)。
(1)国会もしくは地方公共団体の議会の議員となり、または積極的に政治運動をすること
(2)最高裁判所の許可のある場合を除いて、報酬のある他の職務に従事すること
(3)商業を営み、その他金銭上の利益を目的とする業務を行うこと
さらに裁判官は、日本国憲法を尊重し擁護する義務を負う(憲法99条)。
[内田一郎]
憲法第37条第1項は、被告人に公平な裁判所の裁判を受ける権利を保障する。そこで、裁判官が特定の事件につき現実にその職務を行う資格を一定の事由により喪失する場合がある。除斥、忌避、回避がこれである(民事訴訟法23条~26条、刑事訴訟法20条~25条、刑事訴訟規則9条~14条)。
[内田一郎]
日本の裁判官制度では、もっぱら職業裁判官という法律専門家がその職を担ってきた。過去には、1928年(昭和3)から1943年まで陪審制度が実施されたことがあったが、定着するに至らなかった。これに対して、2001年(平成13)の司法制度改革審議会意見書が、刑事訴訟手続への国民の新たな参加制度を提言し、これに基づいて2004年に裁判員の参加する刑事裁判に関する法律(平成16年法律第63号)が成立し、2009年より実施された。裁判員制度は、国民のなかから選任された裁判員が、裁判官とともに刑事訴訟手続に関与することが、司法に対する国民の理解の増進とその信頼の向上に資することから導入された(裁判員の参加する刑事裁判に関する法律1条)。裁判員は、独立してその職権を行うとされ(同法8条)、裁判員も司法権の独立の一翼を担うこととされている。裁判員は、公平誠実にその職務を行わなければならない等の義務規定が設けられている(同法9条)。裁判員には、旅費、日当および宿泊費が支給される(同法11条)。
[田口守一]
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…前2者は神意を直接に問うものである(西洋における神託裁判の一例がシェークスピア《冬物語》第三幕第二場に見られる)が,当事者どうしまたは代用戦士の決闘(その一例が,シェークスピア《リチャード二世》第一幕第三場に見られる)においても勝敗は神の裁きの現れと考えられていたし,宣誓も偽証者には天罰が下ると信じられていた(《日本書紀》巻十,巻十三などに見える盟神探湯(くかたち)はその例である)。古代メソポタミアでは,裁判官が王の名において下した判決は神聖な力を持ち,それに対する不服従はそれ自体が天罰を招くとされた。一般に,このような神意裁判は,儀礼的手続によって神を呼び出すという観念に基づいていたため,当事者が定まった文言を誤りなく述べなければ敗訴とされる(そのため代弁人が用いられたことが,弁護士の一つの起源とされる)というように,厳格な形式主義に支配されることが多かった。…
…弁護士,検察官,裁判官の総称であって,法律実務家という観念に近いが,法学者を含むこともある。 英米法系の各国においては,これらの法律的職業に一体感が強く,リーガル・プロフェッションlegal professionという単数形でこれらを包括するのがならわしであるが,ローマ法系の国においては,それぞれの職業に独立性,排他性が強く,英米法系の国のように単一の職業の機能的分化と見る風習が定着しない傾向がある。…
※「裁判官」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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