普及版 字通 「貞(漢字)」の読み・字形・画数・意味
貞
常用漢字 9画
(異体字)
15画
[字訓] とう・ただしい・まこと・あたる
[説文解字]
[甲骨文]
[金文]
[字形] 会意
正字はに作り、卜+鼎(てい)。鼎によって卜問することをいう。〔説文〕三下に「貞は卜問するなり。卜貝に從ふ。貝は以て贄(し)(お供え)と爲すなり」とするが、卜文・金文の字は鼎に従っており、おそらくわが国の「盟神探湯(くかたち)」のような方法か、あるいは鼎中の犠牲のようすによって卜したものであろう。〔説文〕にまた「一に曰く、鼎の省聲なり」とする京房説が引かれていて、字が鼎に従うとする伝承もなおあったのであろう。〔左伝、哀十七年〕「衞侯、貞卜す」、〔国語、呉語〕「貞(と)ふことを陽卜(卜人の名)にふ」、また〔周礼、春官、大卜〕「そ國の大貞」の〔司農注〕に「貞は問なり」とみえ、卜問の訓は知られていたのである。卜辞には「甲子、卜して(なん)(卜人の名)貞(と)ふ」という定式がある。卜問によって神意にかなうことが知られ、それより貞正の意となる。字はまた偵に作る。
[訓義]
1. とう、うらなう、ただす。
2. ただしい、さだまる、よい。
3. まこと、まごころ。
4. あたる、神意にかなう。
5. 女のただしいみさお。
6. 字はまた、偵に作り、とう。
[古辞書の訓]
〔名義抄〕貞 サダシ 〔立〕貞 カソカニ・サダカニ 〔字鏡集〕貞 サダカニ・カソカニ・トブラフ・サダシ・マサシ・サダム
[声系]
〔説文〕に貞声として(禎)など四字を収め、また鼎を貞の省声とする。貞はもとに作り、貞はその省文である。
[語系]
貞tieng、丁tyengは声近く、當(当)tangもその系統の語。みな、あたる、相当たる意のある語である。
[熟語]
貞一▶・貞▶・貞婉▶・貞介▶・貞愨▶・貞確▶・貞▶・貞軌▶・貞期▶・貞吉▶・貞休▶・貞勁▶・貞潔▶・貞堅▶・貞賢▶・貞固▶・貞士▶・貞志▶・貞実▶・貞淑▶・貞順▶・貞醇▶・貞純▶・貞女▶・貞松▶・貞心▶・貞臣▶・貞信▶・貞真▶・貞慎▶・貞人▶・貞仁▶・貞粋▶・貞静▶・貞誠▶・貞石▶・貞節▶・貞専▶・貞素▶・貞操▶・貞端▶・貞兆▶・貞直▶・貞度▶・貞特▶・貞白▶・貞▶・貞婦▶・貞夫▶・貞符▶・貞方▶・貞芳▶・貞木▶・貞明▶・貞理▶・貞諒▶・貞良▶・貞烈▶・貞廉▶・貞和▶
[下接語]
安貞・義貞・吉貞・休貞・居貞・堅貞・孤貞・孝貞・士貞・至貞・守貞・女貞・清貞・誠貞・静貞・大貞・泰貞・忠貞・童貞・不貞・婦貞・芳貞・利貞
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報