逆オイルショック(読み)ぎゃくおいるしょっく

知恵蔵mini 「逆オイルショック」の解説

逆オイルショック

国際原油価格が急落することで起こる世界的波紋のこと。過去には、1970年代に起こった2度にわたる原油価格の高騰(第1次・2次オイルショック)に反応し、86年初めに原油価格が60%以上暴落したことが知られる。こうした逆オイルショックは、原油輸入国(先進国)の経済に好影響を与えてきており、88年には世界経済成長率が最大4.6%に達した。反面、最大の原油輸出国であった旧ソ連を始め産油国(新興国)には大きな打撃となった。2014年12月16日にも、原油取引の国際的指標となるWTI(米国産標準油種)先物価格が6月時点の50%近くにまで下落する逆オイルショックが発生。これにより、外貨獲得の68%を石油輸出産業に依存していたロシアは大きな打撃を被り、ルーブルが年初以来対ドルでほぼ半減する通貨危機に見舞われた。南米アフリカの原油輸出国でも14年の通貨下落率が2ケタに達している。

(2014-12-19)

出典 朝日新聞出版知恵蔵miniについて 情報

世界大百科事典(旧版)内の逆オイルショックの言及

【石油危機】より

…その結果として,石油はだぶつき,OPECは大幅な減産を余儀なくされ,ついに83年3月にOPECは原油価格を1バレル当り5ドル引き下げるという,OPEC結成以来初めての事態が生じた。価格高騰による石油輸入国側の三重苦をまさに裏返しした事態が生じ,石油輸出国側は苦悩しており,これが逆オイル・ショックといわれる現象である。石油輸入国側では,石油価格引下げは,(1)インフレ抑制,(2)景気上昇,(3)国際収支の改善といった三重善をもたらすことになり,短期的にはおおいに歓迎すべきであろう。…

【石油産業】より

…産油国が独力で石油販売を行っていく方針を固めたからである。
[逆オイル・ショック後のOPECとメジャー]
 第2次石油危機後2~3年を経て,石油市況は大幅に軟化してきた。石油価格の上昇に伴い,第1に経済成長が鈍化し,第2に省エネルギーが進展し,第3に石炭,天然ガス,原子力などの石油代替エネルギーが開発されたからである。…

※「逆オイルショック」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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