過去(読み)かこ

精選版 日本国語大辞典 「過去」の意味・読み・例文・類語

か‐こ クヮ‥【過去】

〘名〙
仏語。三世(さんぜ)の一つ。前世過去世
万葉(8C後)五・沈痾自哀文「我犯何罪此重疾過去所造之罪若是現前所犯之過罪過河獲此病」 〔六十華厳経‐六〕
② (━する) 通り過ぎていなくなること。また、死ぬこと。
地蔵菩薩霊験記(16C後)三「別当俄に悪瘡出来て終(つい)に過去(クコ)してんげり」
③ 過ぎ去った時。昔。〔羅葡日辞書(1595)〕
平民新聞‐明治四〇年(1907)二月一六日・運動方針に就て〈竹内余所次郎〉「ロシアの過古の運動が将来に期待すべき理想的方法と同一なりと云ひ得べきか」
④ 過ぎた昔の経歴
※痩せた花嫁(1925)〈今東光〉「江美子は自分の短い過去を振り返ると」
文法で、過ぎ去った動作状態を表わす語法
※密伝抄(1455頃か)「惣而しは過去のし、未来のし、現在のしとて此等也」

すぎ‐さ・る【過去】

〘自ラ五(四)〙
① その場を通り過ぎて離れる。その前を経て去って行く。また、ある状態が消えてなくなる。
今昔(1120頃か)一五「音楽の音、漸く遠く成て過き去ぬ」
日葡辞書(1603‐04)「カナシミ suguisaru(スギサル)
② 時がたつ。時が過ぎてゆく。
※両足院本山谷抄(1500頃)一九「眼前の事をだに打忘てのくる、况や過去た事を何か懐にはかけうぞ」
③ 死ぬ。亡(な)くなる。
浮世草子鬼一法眼虎の巻(1733)三「過去(スギサ)り給ふ母御様へ詫(わび)して手向(たむけ)給はれと」

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デジタル大辞泉 「過去」の意味・読み・例文・類語

か‐こ〔クワ‐〕【過去】

現在より以前の時。過ぎ去った時。昔。「過去を振り返る」
好ましくない経歴・前歴。「過去を清算する」
仏語。三世さんぜの一。この世に生まれる前の世。前世。過去世。
文法で、ある時点(一般には現在)よりも以前の動作・状態を表す言い方。動詞連用形に、文語では助動詞」「けり」、口語では助動詞「」などを付けて言い表す。なお、英語などでは動詞の時制の一とする。
[類語](1いにしえ往時当時往年旧時一昔昔年往日昔日昔時往昔往古古昔在りし日以前かつ古くそのかみ前前かねてかねがね何時か既往これまで従来従前し方先年当年一時一頃その節先に古来あらかじめ前以て年来旧来在来その昔太古千古大昔2経歴前歴略歴学歴職歴履歴病歴閲歴素性生い立ち育ち

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普及版 字通 「過去」の読み・字形・画数・意味

【過去】かこ

以前。

字通「過」の項目を見る

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デジタル大辞泉プラス 「過去」の解説

過去(リメンバー)

北方謙三の長編ハードボイルド小説。1984年刊行。

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