デジタル大辞泉
「陸」の意味・読み・例文・類語
ろく【▽陸/×碌】
[名・形動]
1 (あとに打消しの語を伴って用いる)正常なこと。まともなこと。満足できる状態であること。また、そのさま。まとも。「―な品物がない」「―に休みもとれない」
2 (陸)土地や物の面の平らなこと。また、そのさま。平坦。「―屋根」
「とてものことに地を―にならしたきものかな」〈咄・露がはなし・五〉
3 気分の平らかなこと。安らかなこと。また、そのさま。
「―に休ませ給へと帯の結び目とくとくといふに」〈浮・御前義経記・二〉
[補説]「碌」は当て字。
[類語]めったに・ろくろく・ろくすっぽ
くぬ‐が【▽陸】
《「くにが(国処)」の音変化》陸地。くが。⇔海処。
「其れ薗池水―の利に」〈孝徳紀〉
くが【▽陸】
《「くにが(国所)」の音変化》陸地。りく。くぬが。
「水鳥の―にまどへる心地して」〈源・玉鬘〉
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
Sponserd by 
ろく【陸・碌】
- 〘 名詞 〙 ( 形動 ) ( 「直」「完」とも書く。「碌」と書くのは当て字 )
- ① 土地の平らなこと。また、物の面が水平であること。平坦なこと。また、そのさま。
- [初出の実例]「Inexplanatus〈略〉タイラカニ、rocuni(ロクニ) ナキモノ、ヤワラゲザル コト」(出典:羅葡日辞書(1595))
- 「Rocuna(ロクナ) ミチ」(出典:日葡辞書(1603‐04))
- ② 物がゆがまないで、まっすぐなこと。姿、形が正しいこと。また、そのさま。
- [初出の実例]「此かけ物もろくにかけてもらひたい」(出典:虎明本狂言・乳切木(室町末‐近世初))
- ③ 気持が平らかであること。気分が安らかであること。心身をゆったりさせること。くつろぐこと。また、そのさま。→陸(ろく)に居る。
- [初出の実例]「ろくに成るお祖母の心念仏から」(出典:雑俳・住吉御田植(1700))
- 「ろくにやすませ給へ」(出典:浮世草子・御前義経記(1700)二)
- ④ 世の中が泰平であること。平穏であること。また、そのさま。
- [初出の実例]「勝軍礒うつ波のまくり切 今嶋はらはろくに治る」(出典:俳諧・西鶴大句数(1677)三)
- ⑤ ( ふつう後に打消の語を伴う ) 物事の様子、性質などが正しいこと。まともであること。完全であること。十分であること。また、そのさま。
- [初出の実例]「今まで此やうな事は、見た事もきいた事もない、ろくな事ではあるまひと存て気遣仕る」(出典:天理本狂言・茸(室町末‐近世初))
- 「博奕打子は三界のくびかせよ こころはやみに夜もろくにねず〈素玄〉」(出典:俳諧・大坂独吟集(1675)上)
陸の補助注記
「陸」の呉音による語で、陸地のように平らであるというのが原義。今日でも大工用語で「陸屋根」「陸墨」などと、平らの意に「陸(ろく)」を用いている。
くが【陸】
- 〘 名詞 〙 ( 「くぬが」の変化した語 )
- ① 海、川、湖、沼などに対して、陸の部分。陸地。くにが。くぬが。
- [初出の実例]「此れ、海(うみ)陸(クガ)相通(かよは)ざる縁(ことのもと)なり」(出典:日本書紀(720)神代下(寛文版訓))
- 「水鳥のくがにまどへる心ちして」(出典:源氏物語(1001‐14頃)玉鬘)
- ② 海路などに対して、陸上を行く道。陸路。くがじ。
- [初出の実例]「陸路 クガヲユクユヱ ニモツハ フネノ人ニ タノムヨリホカハゴザラヌ」(出典:交隣須知(18C中か)二)
陸の語誌
( 1 )水部に対する語であり、後には②のように海路・水路に対する陸路をさすようにもなる。
( 2 )語形としては「クムガ」(書陵部本名義抄・色葉字類抄)、「クヌガ」(日本書紀古訓)、「クニガ」(改正増補和英語林集成)などがあり一定しない。語源的には「国(クニ)処(カ)」ともいわれるが、そうだとすると、日本書紀古訓の「クヌガ」は「クヌチ(国内)」などとの類推から作られた語形である可能性もある。
おかをか【陸・岡】
- 〘 名詞 〙
- ① 陸地。くが。くぬが。⇔海。
- [初出の実例]「鳴海潟おかをめぐりてゆく人は都のつとになにをかたらん〈公朝〉」(出典:夫木和歌抄(1310頃)二五)
- ② 浴場の浴槽の外。流し場。
- [初出の実例]「銭湯へいりたりけるに、たがひに岡へあがりて、しちをとりたる者のいふやう」(出典:咄本・かす市頓作(1708)二)
- ③ 硯(すずり)の墨をする所。⇔海。
- [初出の実例]「硯は墨を觧く器にして、形種々に作る深き処を海といひ浅き処を岡といふ」(出典:小学読本(1873)〈榊原芳野〉一)
りく【陸】
- 〘 名詞 〙
- ① 地球表面上で水におおわれていない部分。地球表面積の約四分の一で、岩石および土壌で構成されている。おか。くが。陸地。
- [初出の実例]「古法不レ施二於今一、猶三舟不レ可レ行二之於陸(リク)一〔後漢書〕」(出典:文明本節用集(室町中))
- ② ビリヤードで、突き出したキューに球が二度当たってしまう反則。旧日本陸軍の間でビリヤードがはやった時、陸軍の軍人が、この反則を無視してゲームをしたところからいわれるようになったという。
くぬ‐が【陸】
- 〘 名詞 〙 ( 「くにが(国処)」の変化した語 ) 陸地。くむが。くが。⇔海処(うみが)。
- [初出の実例]「敬みて糸綸(みこと)を受けて、陸(クヌカ)海(うみ)に劬労(たしな)み」(出典:日本書紀(720)欽明六年一一月(寛文版訓))
くむ‐が【陸】
- 〘 名詞 〙 =くぬが(陸)
- [初出の実例]「若は水、若は陸(クムカ)、山澗の薬草」(出典:石山寺本大般涅槃経平安中期点(950頃)九)
くに‐が【陸】
- 〘 名詞 〙 =くぬが(陸)〔改正増補和英語林集成(1886)〕
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
Sponserd by 
普及版 字通
「陸」の読み・字形・画数・意味
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
Sponserd by 