音物(読み)インモツ

デジタル大辞泉 「音物」の意味・読み・例文・類語

いん‐もつ【音物】

贈り物。進物賄賂わいろにもいう。
文部省の巡廻役人共には助才なく―をする」〈魯庵社会百面相

いん‐ぶつ【音物/引物】

いんもつ(音物)」に同じ。
「―ヲ遣ワス」〈日葡

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「音物」の意味・読み・例文・類語

いん‐ぶつ【音物・引物】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「いん」「ぶつ」は「音」「物」の漢音 ) 好意を表わすためのおくりもの。また、目上の者が賞与として授ける品物賄賂(わいろ)にもいう。進物。音信(いんしん)。いんもつ。
    1. [初出の実例]「里里よりの衣裳ゐんぶつ取り添へ送りしに」(出典:曾我物語(南北朝頃)九)
    2. 「音物(インブツ)山をなして此病人の機嫌をとらせ給ふは」(出典:浮世草子・浮世栄花一代男(1693)三)

音物の補助注記

「いんぶつ」「いんもつ」および「音物」「引物」の区別は判然としない。古本節用集類には、「引物(いんぶつ)」だけが記載されている。


いん‐もつ【音物】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「もつ」は「物」の慣用音 ) =いんぶつ(音物)
    1. [初出の実例]「音(イン)もつは毎度あちより北村やつぐなふ事もなくてはづかし」(出典:狂歌・家つと(1729))
    2. 「謹慎中なれば使節或は音物(インモツ)贈答なんどすべくもあらず」(出典:近世紀聞(1875‐81)〈染崎延房〉七)

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