験者(読み)ゲンザ

デジタル大辞泉 「験者」の意味・読み・例文・類語

げん‐ざ【験者】

《「ざ」は「じゃ」の直音表記修験道行者秘法を用いて加持・祈祷きとうを行い、病気治癒除災などの霊験を現す者。修験者。げんじゃ。

げん‐じゃ【験者】

げんざ(験者)

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精選版 日本国語大辞典 「験者」の意味・読み・例文・類語

げん‐ざ【験者】

  1. 〘 名詞 〙 ( 験をあらわす行者の意。「ざ」は「じゃ」の直音表記 ) 加持祈祷(かじきとう)をして、物の怪(け)などを退散させ、病気をなおして、霊験をあらわす行者。修験(しゅげんどう)の行者。修験者。修験。げんじゃ。
    1. [初出の実例]「夜昼、医師(くすし)〈略〉げんざなど召しつつおはしますに」(出典:宇津保物語(970‐999頃)国譲中)

験者の補助注記

元来は「修験者」と同義であったが、修験者は、修験道において山林にこもって霊験を得ようとする修行者を指す場合が多いのに対し、験者は、霊験の力によって精神錯乱などの病気や、ものに憑かれた人を治療する人を指し、意味の使い分けが見られる。


げん‐じゃ【験者】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「げんしゃ」とも ) =げんざ(験者)
    1. [初出の実例]「物のけにわづらひて、上ざうだいとくをげむじゃにしけるほどに、人とかくいひけり」(出典:大和物語(947‐957頃)一〇五)

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改訂新版 世界大百科事典 「験者」の意味・わかりやすい解説

験者 (げんざ)

〈げんじゃ〉とも言い,験をあらわす行者や修験者を指す。法華経や密教経典によって加持祈禱を行い,験者声と呼ばれる押しつぶしたような声で,悪霊などを退散させ,治病・除災をした。験者は,諸霊を自由に使役しうる霊力を感得するために,深山幽谷にこもり,山岳抖擻(とそう)して修行したので,〈山の聖〉とも呼ばれていた。平安時代には,病難・難産は,生霊・死霊・物怪(もののけ)などのしわざと信じられていたので,験者が宮中に招かれて修法を行う機会も多く,その情景が文学作品によく描かれている。験者は,護法を使役して験競べをしたり,奇跡をあらわしたり,呪詛を行うこともあり,巫女や尸童(よりまし)に護法を憑(つ)けて託宣をさせたりもした。三善清行の子,浄蔵貴所は,その代表的存在である。
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世界大百科事典(旧版)内の験者の言及

【験者】より

…〈げんじゃ〉とも言い,験をあらわす行者や修験者を指す。法華経や密教経典によって加持祈禱を行い,験者声と呼ばれる押しつぶしたような声で,悪霊などを退散させ,治病・除災をした。…

【僧】より

…この宗派の中・近世の村落の道場が,〈毛坊主(けぼうず)〉と呼ばれた半僧半俗の篤信者により運営されていたことはよく知られるところである。 一方,古代・中世において,各宗教団の外縁部には,(ひじり)や験者とよばれた民間の遊行僧の活躍が目だった。彼らは山々をめぐり,民間で修法を行い,ときには勧進聖(かんじんひじり)となって寺や仏像を修造し,橋をかけ,経を奉納するなどの宗教活動を行った。…

※「験者」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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