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骨肉腫 【こつにくしゅ】

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家庭医学館の解説

こつにくしゅ【骨肉腫 Osteosarcoma】
 
[どんな病気か]
 骨肉腫は、悪性骨腫瘍(あくせいこつしゅよう)(骨のがん)のなかでは、もっとも発生数の多い腫瘍です。
 少し専門的になりますが、この腫瘍の細胞は、幼弱な骨の組織をつくる能力をもっています。
●頻度
 日本整形外科学会では、全国の骨腫瘍の患者さんの登録を行なっていますが、毎年、百数十例の骨肉腫の患者さんが登録されています。
 この数が、すべてのがん発生数の何%にあたるのか明らかではありませんが、全悪性骨腫瘍の発生率は、10万人に対して0.8人といわれています。また、骨肉腫は、悪性骨腫瘍全体の40%ちかくを占めています。
 しかし、胃がん肺がんに比べて、骨肉腫の発生数は、きわめて少ないといえます。
 小学生から大学生といった若い年齢層に多くみられ、治療成績が、いまだに満足できるようなものではないことが問題点となっています。
●年齢・性別
 もっともかかりやすいのは10歳代、以下20歳代、10歳未満の順になっています。年齢が高くなるにつれて発生は少なくなります。
 男女比は3対2で、男性にやや多く発生します。
●発生しやすい部位
 この腫瘍の半数ちかくは、大腿骨(だいたいこつ)の下端にできます。
 つぎに多くみられる部位は脛骨(けいこつ)(膝(ひざ)から下の太いほうの骨)の上端です。
 腓骨(ひこつ)(膝から下の細いほうの骨)の上端にも発生し、70~80%が、膝の周囲にできます。
 上腕骨(じょうわんこつ)の上端(肩の部分)にも比較的多くみられます。
 その他の骨にも発生しますが、その数はきわめて少数です(図「骨肉腫の発生しやすい部位」)。
[症状]
 はじめ、走ったり跳んだりした後に、膝の関節が痛んだり、ボールを投げたりした後に、肩の関節に痛みを感じたりします。
 痛みは、安静にしていると軽くなるので、多くの人は、スポーツによる痛みと考えます。事実、大部分の痛みはそうなのですが、骨肉腫の場合は痛みがだんだん強くなり、安静時でも痛むようになります。
 この時期になると、患部の腫(は)れ、発赤(ほっせき)(赤くなる)、熱感(さわると熱く感じる)、さらに関節の動きが悪くなり(可動性制限)、脚(あし)をひきずって歩いたりする(跛行(はこう))こともあります。
 たいていの人が、この時期に医師を受診しますが、最初の痛みがおこってから2~3か月たっています。
 したがって早期発見のためには、このような痛みが1か月以上も続く場合、整形外科を受診して、骨腫瘍であるかないかを確かめる必要があります。
[検査と診断]
 もっとも簡便な診断方法はX線検査です。X線像だけで診断ができることもあります。
 しかし、骨肉腫の疑いが強い場合には、X線像のほかに、CT(コンピュータ断層撮影)、MRI(磁気共鳴画像装置)、血管造影(造影剤を血管に注入して血管のX線写真を撮るもの)、骨シンチグラフィーアイソトープによる画像で腫瘍を見つける検査)などの検査を行ないます。
 また、血液に含まれるアルカリホスファターゼ(とくに骨の腫瘍で血液中に増える物質)を検査したり、肺への転移を調べるために肺のX線検査やCT検査を行ないます。
 最終的な診断は、腫瘍の組織の一部をとって顕微鏡で調べる病理組織学的検査を行ない、その結果と、いろいろな検査の結果を総合して決定します。
[治療]
 骨肉腫の治療は、手術抗がん剤などを使用する化学療法中心ですが、ときに放射線療法が加わることもあります。
 手術が不可能な場合には、化学療法、放射線療法が行なわれます。
 手術療法 30年ぐらい前は、骨肉腫の発生した四肢(しし)(腕や脚(あし))を切断する切断術、関節から切り離す関節離断術が行なわれていました。しかし、化学療法の発達によって、腕や脚を切らないようにする手術が広く行なわれるようになりました(患肢温存手術(かんしおんぞんしゅじゅつ))。
 手術では、腫瘍を、骨を含めて切除し、骨の切除された部分は、人工関節、人工骨など、いろいろな材料を用いて再建します。
 こうした手術は、すべての人に行なうわけにはいきません。腫瘍がさほど大きくない、化学療法がよく効く、主要な血管や神経を切らずにすむ、といったときに、患肢温存手術の対象となります。
 化学療法 骨肉腫は、血管に悪性の細胞が流れ込んで、しばしば肺に転移します。
 この肺への転移を防ぐことが、生命を救うたいせつな治療の1つです。
 そのため、骨肉腫の診断が確定すると、抗がん剤などを使った化学療法が行なわれます。
 化学療法は吐(は)き気(け)、嘔吐(おうと)、脱毛(だつもう)、白血球減少(はっけっきゅうげんしょう)などの副作用をともないますが、治療が終われば回復するものです。化学療法は、治療を始めてから約1年で終了します。
 放射線療法 腕や脚を温存する1つの方法として、手術で腫瘍の部分を健康な部分から分けて、腫瘍の部分にだけ放射線の照射を行なう方法(術中放射線療法)を行なっている医療施設もあります。
 また、手術が不可能なところに腫瘍ができた場合は、放射線療法が行なわれます。
●治療成績
 治療を開始したときに肺や他の骨に転移していない人では、5年生存率(5年たった時点での生存率)は約50%となっています。このうち腕や脚を切らずにすんだ人では、5年生存率は約70%以上となっています。
 つまり、腕や脚を切らずにすんだ人は、それだけ条件がよいといえます。
 この点からも、早期発見・早期治療がたいせつであることがわかります。
 切断や関節離断を行なった人には、義足(ぎそく)などが必要になります。
 最近は、すぐれた義足をつくることができますので、歩行はつえなしで十分可能となります。
 治療の費用については、子どもの場合、厚労省が定めた「小児慢性特定疾患」に含まれる病気なので、手続きをすれば、公費によって治療費の給付が受けられます。18歳未満でこの病気になった場合には、20歳まで延長して治療費の給付が受けられます。
 また、大腿で切断された場合は、身体障害者手帳にある、3級の障害に相当します。
 都道府県の指定医の診断書(身体障害者用診断書)を添えて、手続きをすれば、身体障害者手帳が交付され、いろいろなサポートが受けられます。


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それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。この事典によって自己判断、自己治療をすることはお止めください。あくまで症状と病気の関係についてのおおよその知識を得るためのものとお考えください。

世界大百科事典 第2版の解説

こつにくしゅ【骨肉腫 osteosarcoma】 

腫瘍細胞直接類骨もしくは骨を形成する悪性腫瘍。骨に発生する悪性腫瘍には骨肉腫をはじめ,軟骨肉腫繊維肉腫,ユーイング肉腫など多種類の腫瘍が含まれる。そのなかでも最も発生数の多い代表的な骨の悪性腫瘍が骨肉腫である。発生原因についてはまだ明らかでない。日本における年間新患者の発生数は百数十例で,胃癌肺癌乳癌などの発生数に比較すると,その発生数は多くはない。好発年齢は10歳から20歳の最も発育盛ん時期で,男女比は3対2でやや男性に多い。


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

骨肉腫
こつにくしゅ
osteosarcoma; OS

10歳代の男子に好発する悪性腫瘍。腫瘍細胞がみずから類骨や幼若な骨をつくる能力をもっており,原発性の骨悪性腫瘍中では最も頻繁に発生する腫瘍である。大腿骨下端脛骨上端に発生することが多いが,血流によってしばしば肺にも転移する。

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大辞林 第三版の解説

こつにくしゅ【骨肉腫】
 
骨の原発性の悪性腫瘍の一。未分化で増殖の激しい骨組織から成り,一〇~二五歳の男性に多い。主に肩や膝関節の周囲に生じ,早期に肺に転移することが多い。


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デジタル大辞泉の解説

こつ‐にくしゅ 【骨肉腫】
 
骨にできる悪性腫瘍(しゅよう)大腿骨(だいたいこつ)下端、脛骨(けいこつ)上腕骨などの上端に発生することが多く、痛み、赤くはれる。肺などに転移することもある。青少年期の発病が多い。

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百科事典マイペディアの解説

骨肉腫 【こつにくしゅ】

骨の悪性腫瘍(しゅよう)の一種骨質形成を伴う肉腫で,他に軟骨肉腫,繊維肉腫,血管肉腫などがある。いずれも悪性で,放射線治療有効でなく,切断を必要とすることが多い。
※本文は出典元の用語解説の一部を掲載しています。


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骨肉腫に近い言葉→軟骨肉腫|骨肉|骨肉相食む|肉腫|骨肉分離機|吉田肉腫|食道肉腫|肉腫遺伝子|リンパ肉腫|横紋筋肉腫

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