鱗片(読み)リンペン(英語表記)scale

翻訳|scale

デジタル大辞泉 「鱗片」の意味・読み・例文・類語

りん‐ぺん【×鱗片】

うろこ一片。また、うろこ状のものの細片
生物体表面にある、うろこ状の構造物。鱗粉りんぷん鱗片葉りんぺんようなど。

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精選版 日本国語大辞典 「鱗片」の意味・読み・例文・類語

りん‐ぺん【鱗片】

  1. 〘 名詞 〙
  2. うろこの一片。うろこのかけら。また、うろこ状をした細片。
    1. [初出の実例]「百合のやうな鱗片から成った球根ではあったが」(出典:球根(1921)〈寺田寅彦〉)
  3. 生物体の体表面にあるうろこ状の構造物の総称。次の四項に大別される。
    1. ( 1 )うろこ状の薄い付属物、葉の退化したもの、表皮のもりあがったものなど。
    2. ( 2 )鱗片葉のこと。
    3. ( 3 )鱗翅目鱗粉のこと。
    4. ( 4 )多毛虫のウロコムシの体背面に左右に二列にならぶ扁平板など。〔植学訳筌(1874)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「鱗片」の意味・わかりやすい解説

鱗片 (りんぺん)
scale

昆虫,とくに鱗翅(りんし)目(チョウ,ガ)の体表や羽の表面を覆う微小で扁平なうろこ状構造物をいう。発生学的には剛毛と同じように,表皮の生鱗細胞がまず体表に突出したのち小さい袋状となり,細胞が退化するにつれて扁平なうろこ状になる一方,血液によって運ばれた色素粒が内部に満たされる。形状はいろいろで,鱗片の柄部は翅膜面にあるソケットに差し込まれて,屋根瓦状に配置されている。鱗片表面には細い縦・横しま模様の彫刻があって,それによって光沢のある色彩となる。さらに鱗片の種類や配列によって種固有の翅模様が形成される。とくに雄の翅にある特別な折りかえしやくぼみには発香鱗があって,雌を誘引する香りを発散する。また,翅の基部や前縁脈に沿った翅の上下面には感覚鱗がある。普通の鱗片と違って紡錘状で,先端がとがり,接触刺激を感受する。
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百科事典マイペディア 「鱗片」の意味・わかりやすい解説

鱗片【りんぺん】

チョウやガの体表をおおう微小で扁平なうろこ状の構造。毛が変化したもの。一般にプテリンメラニンなど尿素系色素を含み,これらの色素色と,鱗粉内部の構造によって光が屈折・干渉して生ずる構造色のため,特有の色彩や光沢を表す。雄には雌を誘引する香りを出す発光鱗がある。

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世界大百科事典(旧版)内の鱗片の言及

【毛】より

…単細胞の毛と多細胞の毛があり,ふつう液胞がよく発達して葉緑体などは含まず,表面はクチクラに覆われる。細胞が1列に並んだ毛のほかに,分枝のみられる星状毛や,細胞が平面的に並んだ鱗片scaleも毛の一種である。毛の類型化はいろいろの基準によって行われ,形状から刺毛,鉤毛(こうもう),絨毛(じゆうもう),綿毛,剛毛,棘毛(きよくもう),囊状毛,星状毛,鱗毛,乳頭突起など,性質や働きから腺毛,粘毛,根毛,吸収毛,散布毛,側糸,感触毛などが分類される。…

※「鱗片」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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