日本大百科全書(ニッポニカ) 「黒田辰秋」の意味・わかりやすい解説
黒田辰秋
くろだたつあき
(1904―1982)
木・漆工家。京都市祇園(ぎおん)清井町に父亀吉、母まつの六男として生まれる。塗師の父のもとで木工、漆工の技術を習得、20歳のとき河井寛次郎と知り合い、柳宗悦(やなぎむねよし)のもとで民芸運動に参加するようになり、とくに李朝(りちょう)木工品や螺鈿(らでん)器に興味をもった。1930年(昭和5)国画会工芸部へ無鑑査で出品、以後たびたび出品する。54年(昭和29)日本工芸会理事に就任、第2回日本伝統工芸展(1955)以来、同展に出品する。70年4月重要無形文化財「木工芸」保持者に認定。作風は木理の美を生かした単純・豪壮な器形、また絢爛(けんらん)たる螺鈿の加飾表現に特色があった。
[郷家忠臣]