日本大百科全書(ニッポニカ) 「中道政党」の意味・わかりやすい解説
中道政党
ちゅうどうせいとう
政治党派の対抗が二極に分化し激化したという状況にあって、中間の政治領域に位置する立場を標榜(ひょうぼう)する政党を中道政党という。第一次世界大戦後のワイマール・ドイツにおける左右に両極分解した政治状況にあって「中央党」が結党された例がある。第二次世界大戦後、日本の占領体制化において保守勢力が指導性を失い日本社会党が政局の指導権を掌握した段階で当時の連立政権が「中道政権」を自認した例がある。しかし、これまでの中道政党において、左右両極に偏らないとする立場の提示はなされてはいたが、指導理念における独自の党派的存在が確定され明示されることはなかった。
「冷戦構造」が克服され、資本主義体制と社会主義体制の両極分解の解消が進行するにつれ、ようやく固有の政治的立場における中道政党の姿が浮上しつつある。西欧の社会民主主義政党において、市場原理と計画原理の均衡が求められ、福祉社会における社会的公正の実現を追求する「第三の道」が選択されるようになり、そこでは、中道政党の姿がかつてなく鮮明に浮かび上がる結果をもたらしている。
[高橋彦博]