南京条約(読み)ナンキンジョウヤク

デジタル大辞泉 「南京条約」の意味・読み・例文・類語

ナンキン‐じょうやく〔‐デウヤク〕【南京条約】

1842年、アヘン戦争結果南京で締結された英国国との間の条約広州福州廈門アモイ寧波ニンポー上海開港香港割譲賠償金の支払いなどを内容とした。江寧こうねい条約。

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精選版 日本国語大辞典 「南京条約」の意味・読み・例文・類語

なんきん‐じょうやく‥デウヤク【南京条約】

  1. 一八四二年八月、アヘン戦争の結果、南京で清国とイギリスとの間に結ばれた基本条約および翌年結ばれた追加条約。香港の割譲、広州・上海など五港の開港、賠償金支払いなどを定めた。江寧条約ともいう。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「南京条約」の意味・わかりやすい解説

南京条約
なんきんじょうやく

アヘン戦争の結果、1842年8月、南京前面の揚子江(ようすこう)上のイギリス艦コーンウォリス号で清(しん)・イギリス間に結ばれた条約。江寧(こうねい)条約ともいう。そのおもな内容は、(1)香港(ホンコン)の割譲、(2)広州、厦門(アモイ)、福州、寧波(ニンポー)、上海(シャンハイ)の五港開港、(3)開港場に領事を置くこと、(4)戦費賠償金1200万ドル、没収アヘンの賠償600万ドルなど計2100万ドルの支払い、(5)公行制度の廃止、(6)相互の合意による関税率の協定、などである。続いて補足条約として43年7月、五口(港)通商章程および海関税則が、また追加条約として同年10月虎門寨(こもんさい)追加条約が結ばれた。前者で領事裁判権と従価3%の輸出入税率、後者で片務的最恵国待遇条項と、開港場におけるイギリス人の土地租借と住居建築の承認などが取り決められた。この土地租借権が後の租界設立に道を開くことになった。これらの条約を基本として、44年にアメリカと望廈(ぼうか)条約、フランスと黄埔(こうほ)条約が結ばれ、アメリカ、フランス両国もイギリスと同様な諸特権を得た。

 南京条約とこれに続く以上の諸条約は、中国が近代において背負わされた不平等条約の最初のもので、これ以後、中国はしだいに資本主義世界市場の従属的な市場として再編成されることを余儀なくされた。中国の歴史家たちは一般に、この条約を起点として、中国は独立の封建社会から半植民地、半封建社会に転化し始めたとみなしている。

[小島晋治]

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改訂新版 世界大百科事典 「南京条約」の意味・わかりやすい解説

南京条約 (ナンキンじょうやく)
Nán jīng tiáo yuē

イギリスが中国と結んだ最初の不平等条約。江寧条約ともいう。1842年8月29日(道光22年7月24日)英艦コーンウォリス号において,清国全権耆英(きえい),伊里布とイギリス全権ポティンジャーH.Pottingerとの間に南京条約全13条が締結された。ここにアヘン戦争は終りを告げ,同条約は翌年6月に香港で批准された。南京条約では,(1)広州,福州,厦門(アモイ),寧波(ニンポー),上海の5港を開放して商埠とし,イギリス人の居住・交易を許可すること,(2)香港の割譲,(3)アヘンの賠償,公行商人の債務,戦費の賠償として計2100万ドル(広州贖城費600万ドルは別計算)の支払い,(4)関税率を相方の合意に基づいて協定すること,(5)開港場における領事の駐在,(6)公行制度の廃止,などが規定された。引き続き,南京条約の補足,追加条約である43年7月の五口通商章程および海関税則において,領事裁判権,従価5%の輸出入税,が明記され,これらをも含めた追加条約である同年10月の虎門寨追加条約において,(1)片務的最恵国条款,(2)外国軍艦の中国海港常駐,(3)開港場におけるイギリス人の土地租借および住居建築が認められた。この土地租借規定を根拠として,11月に上海道台宮慕久と初代イギリス領事バルフォアG.Balfourとが永代借地法を定め,のちに設置される外国租界の先駆となった。

 南京条約および虎門寨追加条約は,基本的内容を同じくする44年7月の米清望厦条約,同年10月の仏清黄埔条約とともに英米仏3国の共通的権利となり,中国の対外的不平等条約関係の出発点となった。
アヘン戦争
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百科事典マイペディア 「南京条約」の意味・わかりやすい解説

南京条約【ナンキンじょうやく】

アヘン戦争の結果,1842年南京で英・清間に締結された条約。江寧条約とも。清は英国に対し,香港割譲のほか,江南5港(広州,福州,アモイ(厦門),寧波(ニンポー),上海)の開港,公行の廃止,賠償金の支払等を約した。その後の追加条約等により不平等条約への端緒となった。
→関連項目アモイ(厦門)海関海禁広州上海租界寧波福州

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「南京条約」の解説

南京条約(ナンキンじょうやく)

江寧(こうねい)条約ともいう。アヘン戦争の結果,イギリスと清国との間で締結された修好通商条約。1842年8月29日,南京でイギリス全権ポティンジャーと,清国全権耆英(きえい),伊里布(イリフ)によって調印された。この条約で清国は広州,福州,厦門(アモイ)寧波(ニンポー)上海の五つの港の開港,香港の割譲,1839年に林則徐(りんそくじょ)が没収したアヘンの原価600万両の補償,特許商人(公行(こうこう))制度の廃止,イギリス側の軍事費1200万両の賠償,両国の国交は対等を原則とすることなどを認めた。43年6月,本条約が批准されると,これにもとづいて五口(港)通商章程(6月26日調印),虎門寨(こもんさい)追加条約(10月8日調印)が追加され,領事裁判権,最恵国待遇条款・関税・通過税に関する協定など,清国に不利な条項が一層明確に規定され,清国と列国との不平等条約の発端になった。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「南京条約」の意味・わかりやすい解説

南京条約
ナンキンじょうやく
Treaty of Nanjing

1842年8月29日(清,道光22年7月24日)にアヘン戦争終結のためイギリスと中国朝の間で締結された条約。江寧条約ともいう。当時南京停泊中のイギリス艦『コーンウォリス』上で,イギリス全権ヘンリー・ポッティンジャーと清国全権耆英(きえい),伊里布との間で調印。全 13条からなり,1843年(道光23年5月)ホンコンで批准交換。おもな内容は,両国国民相互の生命,財産の安全と保護の享有,コワンチョウ(広州)シヤメン(厦門)フーチョウ(福州)ニンポー(寧波)シャンハイ(上海)の開港とイギリス人の居住,監督官,領事官の駐在許可,ホンコンをイギリスに割譲,アヘン賠償金,遠征軍費などをイギリスに支払う,特許商人公行の廃止など。(→不平等条約

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旺文社世界史事典 三訂版 「南京条約」の解説

南京条約
なんきんじょうやく

アヘン戦争の結果,1842年イギリスと清との間に結ばれた条約
13条からなり,清は賠償金の支払い,広州・福州・厦門 (アモイ) ・寧波 (ねいは) ・上海の5港の開港,香港島の割譲,公行制度の廃止などを認めた。清がヨーロッパ諸国に屈服して結んだ最初の不平等条約で,これにより従来の朝貢貿易はくずれ,欧米資本主義諸国の侵略を招くことになった。さらに翌年,同条約の補足的性格をもつ五港通商章程・虎門寨 (こもんさい) 追加条約を結んでいる。この条約にひきつづき,1844年アメリカとの望厦 (ぼうか) 条約,フランスとの黄埔 (こうほ) 条約などほぼ同じ内容の条約を結んだ。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「南京条約」の解説

南京条約
ナンキンじょうやく

アヘン戦争の講和条約。1842年8月29日調印。イギリス側代表は全権ポティンジャー,清側代表は欽差大臣耆英。内容は,香港の割譲や賠償金2100万ドルの支払いのほか,5港(広州・厦門(アモイ)・福州・寧波(ニンポー)・上海)開港,従来の公行(こうこう)による貿易独占廃止,5港への領事館設置,関税協定など資本主義的貿易体制の整備を骨子とし,戦争の原因であるアヘン問題にはふれていない。翌年6月の五港通商章程で領事裁判権,同10月の虎門寨(こもんさい)追加条約で片務的最恵国待遇が規定された。44年にはアメリカやフランスも同種の条約を結んだ。

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世界大百科事典(旧版)内の南京条約の言及

【アヘン戦争】より

…6月呉淞(ウースン)砲台を攻略して宝山,上海を占領し,7月には7000の兵を率いて鎮江を攻め,激戦の末に陥落させた。
[南京条約]
 1842年8月29日,清国全権耆英,伊里布とイギリス全権ポティンジャーとの間に南京条約が締結され,ここにアヘン戦争は終結した。南京条約では,五港開放,賠償金,領事駐在,公行制度の廃止などが規定され,追加条約たる翌年の〈五口通商章程〉〈虎門条約〉と合わせ,新たな中・英間の外交通商関係が定められた。…

※「南京条約」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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