大清一統志(読み)ダイシンイットウシ(英語表記)Dà Qīng yì tǒng zhì

デジタル大辞泉 「大清一統志」の意味・読み・例文・類語

だいしんいっとうし【大清一統志】

中国代の地理書。清の版図全域にわたる地誌で、勅命によって前後3回編纂へんさんされた。第一次は全356巻、徐乾学らの撰で1743年完成。第二次は全424巻、和珅かしんらの撰で1784年完成。第三次は全560巻、穆彰阿ぼくしょうあらの撰により1842年完成。

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精選版 日本国語大辞典 「大清一統志」の意味・読み・例文・類語

だいしんいっとうし【大清一統志】

  1. 中国の地理書。五〇〇巻。清の乾隆帝の時、勅命で三回にわたって撰せられた清代全境域の詳細な地誌。第一次修本、三五六巻。陳悳華(ちんとくか)・徐乾学ら撰。一七四三年完成、翌年刊。第二次修本は、四二四巻。和珅(わこん)ら撰。一七八四年完成、九〇年刊。第三次修本は、五六〇巻・凡例目録二巻。穆彰阿(ぼくしょうあ)ら撰。一八四二年完成、一九三四年刊。

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改訂新版 世界大百科事典 「大清一統志」の意味・わかりやすい解説

大清一統志 (だいしんいっとうし)
Dà Qīng yì tǒng zhì

中国,清代の全国地誌。皇帝命令によって編纂され,時期を異にして3種の版本が刊行された。最初の版本は康煕帝の命により徐乾学等によってつくられた356巻本で,1743年(乾隆8)に完成,翌年武英殿で刊刻された。第2の版本は,64年和坤(わこん)等に増訂が命じられ,20年後に完成,その後90年(乾隆55)に武英殿で刊刻された。乾隆29年勅撰本は,本来424巻であるが,今日流布の多い光緒24年,同27年の石印本は500巻に改編されている。第3の版本は穆彰阿(ぼくしようあ)等の編纂になり,嘉慶16年(1811)の奏請,同17年の諭旨にはじまり,1842年(道光22)に560巻本として完成,そのまま印刷されずにいたが1934年《四部叢刊続編》の一種として刊行された。いわゆる《嘉慶重修一統志》で,歴代中国全志中出色の豊富充実した内容で,単に清代地理資料としてだけでなく,中国歴代の歴史地理研究の重要な資料とされる。
一統志
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「大清一統志」の意味・わかりやすい解説

大清一統志
だいしんいっとうし
Da-qing yi-tong-zhi; Ta-ch`ing i-t`ung-chih

清一統志』ともいう。中国,清代の全支配領域について記した総合的地誌。省ごとに総説,図表を付し,続いて6部門に分けて大要を記述し,さらに府ごとに 21 (または 22) 部門に分けて記述する。清代に3回編纂。第1回は中国本土を平定したのちの康煕 25 (1686) 年に着手し,乾隆8 (1743) 年に完成した 356巻。第2回は新疆地方の平定に伴い同 29年に増訂に着手し,同 49年に完成した 424巻 (『乾隆 29年勅撰本』という。勅撰本は 424巻だが,一般に流通しているものは 500巻に改編) 。第3回は嘉慶年間 (96~1820) に始り道光 22 (42) 年に完成した 560巻。本書は刊刻されなかったが,1934年になって,『四部叢刊』続編の一部として『嘉慶重修一統志』の名称で刊行された。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「大清一統志」の意味・わかりやすい解説

大清一統志
だいしんいっとうし

中国、清(しん)代に政府事業として編集された地理書。全領土の自然、人文地理を行政区画別に記述し、終わりに朝貢各国としてほとんど全世界のことを付説している。三度つくられ、最初は1743年に完成。第二は1764年から20年をかけてつくられた。第三は1842年に完成したが、内容は1820年で止まっているので『嘉慶(かけい)重修一統志』という。これは560巻で、もっとも体裁が整い内容も充実している。

[日比野丈夫]

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「大清一統志」の解説

『大清一統志』(だいしんいっとうし)

清朝の全版図にわたる地方志の集大成。康熙(こうき)帝の勅命で1743年に完成した356巻の初版本,18世紀末完成の424巻の増訂本や,『嘉慶(かけい)重修一統志』で知られる560巻本がある。

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旺文社世界史事典 三訂版 「大清一統志」の解説

大清一統志
だいしんいっとうし

清の全領土について記述した勅選の総合的地誌
初版は乾隆 (けんりゆう) 8(1743)年本356巻。増訂版は乾隆49(1784)年本424巻,嘉慶 (かけい) 重修本560巻。元以後,歴代の一統志中で最優秀。

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世界大百科事典(旧版)内の大清一統志の言及

【胡渭】より

…字は朏明(ひめい),浙江省徳清県の人。地理学と易学とに詳しく,前者では,徐乾学(1631‐94)を総裁とする《大清一統志》の編纂に参加し,さらに彼自身も最古の地理書である《尚書》禹貢篇を研究し,漢代以来の水流の変遷を明らかにした《禹貢錐指(すいし)》20巻を著した。後者では,《易図明弁》10巻で,朱子学者が尊んだ〈河図洛書〉〈太極図〉は後世の道士の手に成るもので信用できないことを説き,以後これが定説となった。…

※「大清一統志」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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