有明(読み)アリアケ

デジタル大辞泉 「有明」の意味・読み・例文・類語

あり‐あけ【有明】

陰暦16日以後、月が空に残りながら夜が明けること。また、その月。ありあけのつき。ありあけづき。「―の空」 秋》「―や浅間の霧が膳をふ/一茶
広く、夜明けをいう。明け方。
有明行灯あんどん」の略。
有明桜」の略。
[類語]夜明け明け方明け未明朝まだき黎明朝明け残夜かわたれ時白白明け朝ぼらけ東雲しののめ払暁早暁薄明夜明け前鶏鳴あした朝方朝っぱら早朝モーニング

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精選版 日本国語大辞典 「有明」の意味・読み・例文・類語

あり‐あかし【有明】

  1. 〘 名詞 〙 終夜ともしておく灯火。有明行灯(ありあけあんどん)。ありあけ。ありあけの灯(ひ)
    1. [初出の実例]「冬空のあれに成(なり)たる北颪(きたおろし)〈凡兆〉 旅の馳走に有明しをく〈芭蕉〉」(出典:俳諧・猿蓑(1691)五)

有明の補助注記

一説に、有明行灯よりもやや大きいもので、持ち歩きしないで、つっておいたり、置いておいたりするものともいう。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「有明」の意味・わかりやすい解説

有明(佐賀県)
ありあけ

佐賀県南部、杵島(きしま)郡にあった旧町名(有明町(ちょう))。現在は白石町(しろいしちょう)の南部を占める地域。旧有明町は1962年(昭和37)町制施行。2005年(平成17)白石町、福富(ふくどみ)町と合併、白石町となる。旧町域は、有明海に面し、塩田(しおた)川左岸に位置する。JR長崎本線、国道207号、444号が通じる。北西方には、古代の歌垣で知られる杵島山が南北に連なる。その山並み南東部、塩田川河口近くの竜王崎(りゅうおうざき)には、海童神社と県史跡の古墳群がある。北部は開発が古く、古代の条里制遺構もみられたが、南東部には江戸時代以降、籠(こもり)、搦(からみ)名の干拓地が開かれた。前面の広大な国営有明干拓は1969年にいちおう完成した。米作とノリ養殖が主体で、タマネギ、蓮根(れんこん)などの特産もある。深井戸灌漑(かんがい)による地盤沈下があり、その対策事業が圃場(ほじょう)整備とともに進められ、2012年からは嘉瀬川(かせがわ)ダム(佐賀市)からの通水も始まった。杵島山中腹の稲佐神社(いなさ)は、県天然記念物の大クスの茂る古社で、雨乞(あまご)い祈願など、近郷農民の崇敬を集めている。民俗芸能「鉦浮立(かねぶりゅう)」が伝承される。

[川崎 茂]

『『有明町史』(1969・有明町教育委員会)』


有明(熊本県)
ありあけ

熊本県南西部、天草(あまくさ)郡にあった旧町名(有明町)。現在は、天草市の東部、北寄りを占める地区。旧有明町は1958年(昭和33)町制施行。2006年(平成18)本渡(ほんど)市、牛深(うしぶか)市、御所浦(ごしょうら)町、倉岳(くらたけ)町、栖本(すもと)町、新和(しんわ)町、五和(いつわ)町、天草町、河浦(かわうら)町と合併し、天草市となった。旧町域は、天草上島(あまくさかみしま)の北部に位置し、全域、堆積(たいせき)岩(新生代)からなる開析の進んだ低山性の山地で、島原湾沿岸に磯浜(いそはま)を有する。海岸線と並行するように国道324号が走り、それより海側にはタイ網、タコ壺(つぼ)漁、ワカメ養殖を生業とする沿岸漁家、山の手の平地には水稲、タバコ、老(おい)岳(591メートル)山麓(さんろく)にはミカン、ポンカンを栽培する農家などがみられる。かつて盛んであった赤牛の短期肥育は衰退し、かわって乳牛の導入がみられるが産地を形成するまでには至っていない。島原・天草一揆(いっき)(1637)の本拠地(上津浦(こうつうら))になったこともあり、これにまつわる悲話、伝承が多い。

[山口守人]

『『有明町郷土誌』第1~4集(1961~1968・有明町)』


有明(長崎県)
ありあけ

長崎県南東部、南高来(みなみたかき)郡にあった旧町名(有明町(ちょう))。現在は島原市の北部を占める。旧有明町は1961年(昭和36)町制施行。2006年(平成18)島原市に編入。旧町域は島原半島北東部に位置し、有明海に臨む。島原鉄道、国道251号が通じる。背後の雲仙岳(うんぜんだけ)から有明海に向かって広がる火山性扇状地のスロープ地帯は、野菜とミカンの栽培地帯で、とくに大三東(おおみさき)地区はニンジンとゴボウの特産地である。酪農、牧牛も盛んで長崎県農林技術開発センター畜産研究部門(旧、畜産試験場)がある。漁業戸数は全世帯数の10%にあたり、ノリ、ワカメの養殖のほか、タイラギ漁業(貝柱をとる潜水漁法)があり、湯江(ゆえ)漁港がその中心をなす。1963年以後、九州毛織工場、プラスナイロン工場が誘致されている。舞岳山麓(まいだけさんろく)には「有明の森フラワー公園」があり、住民の行楽、保健の場となっている。

[石井泰義]


有明(鹿児島県)
ありあけ

鹿児島県東部、曽於郡(そおぐん)にあった旧町名(有明町(ちょう))。現在は志布志(しぶし)市の南西部を占める。1958年(昭和33)西志布志村が町制施行して有明町となる。町名は志布志(有明)湾に由来する。2006年(平成18)志布志町、松山(まつやま)町と合併、市制施行して志布志市となった。旧国鉄志布志線はバスに転換。国道220号、269号が通じる。大部分がシラス台地で、中央を菱田(ひしだ)川が南に流れ、志布志湾に注いでいる。かつては米、サツマイモが主産物であったが、現在は肉牛、ブタ、ブロイラーなどの畜産が盛んである。明治、大正、昭和にかけて苦心のすえ、約1000ヘクタールの台地の水田化に成功した蓬原新田(ふつはらしんでん)や野井倉新田(のいくらしんでん)は著名。

[平岡昭利]

『『有明町誌』(1980・有明町)』

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百科事典マイペディア 「有明」の意味・わかりやすい解説

有明[町]【ありあけ】

熊本県天草郡,天草上島北西部を占める旧町。山林が広く,耕地が狭い。一本釣や定置網などの沿岸漁業を行い,甘夏ミカン,米,蔬菜を産する。中心はタイ網漁で有名な赤崎。2006年3月,本渡市,牛深市,天草郡御所浦町,倉岳町,栖本町,新和町,五和町,天草町,河浦町と合併し市制,天草市となる。59.63km2。6561人(2003)。

有明[町]【ありあけ】

鹿児島県東部,曾於(そお)郡の旧町。町域の大部分を占めるシラス台地は大正〜昭和初期野井倉甚兵衛らが開田,野井倉原(のいくらばる)と呼ばれる。畜産が盛んなほか,米,メロン,イチゴを産し,茶も栽培。日南線,国道220号線が通る。2006年1月,曽於郡松山町,志布志町と合併し市制,志布志市となる。98.05km2。1万2331人(2003)。

有明[町]【ありあけ】

佐賀県南部,杵島(きしま)郡の旧町。有明海に臨み,中部を長崎本線が縦断,東部は中世以降の干拓地。米作中心の農業地帯で,畜産,ノリ養殖,特産のれんこん栽培が盛ん。2005年1月杵島郡福富町と白石町へ編入。32.76km2。9005人(2003)。

有明[町]【ありあけ】

長崎県南高来(みなみたかき)郡,島原半島北東部の旧町。島原鉄道が通じる。台地上での野菜作りが盛んでニンジン,ゴボウを多産。ノリ養殖も行われる。2006年1月島原市へ編入。23.48km2。1万2236人(2003)。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「有明」の意味・わかりやすい解説

有明
ありあけ

熊本県南西部,天草市東部の旧町域。天草諸島上島北部に位置し,島原湾に臨む。 1956年赤崎村,楠甫村,大浦村,須子村,上津浦村,下津浦村,島子村の7村が合体して有明村となり,1958年町制施行。 2006年本渡市,牛深市,御所浦町,倉岳町,栖本町,新和町,五和町,天草町,河浦町の2市7町と合体して天草市となる。島原湾沿岸では漁業が営まれ,また御幸ヶ浜,四郎ヶ浜などの海水浴場がある。背後の農村地域ではウシ,ブタ,ニワトリを飼育,柑橘類の栽培が盛んで,野菜の露地栽培も行なわれる。正覚寺 (南蛮寺跡) ,キリシタン墓地など史跡が多い。一部は雲仙天草国立公園に属する。

有明
ありあけ

鹿児島県南東部,志布志市西部の旧町域。大隅半島の東部に位置し,志布志湾に臨む。 1958年西志布志村が改称して町制。 2006年松山町,志布志町と合体して志布志市となった。蓬原原 (ふつはらばる) ,野井倉原を中心に米作が行なわれるほか,チャ (茶) ,サツマイモなどを栽培。曽於牛の主産地。くにの松原に連なる砂浜など,美しい景色に恵まれ,日南海岸国定公園に属する。

有明
ありあけ

東京都江東区南部,東京湾の埋立て地。隅田川の河口に位置し,東雲運河,有明貯木場を隔てて豊洲埋立て地に対する。木材関係の会社や物流センターのほかフェリーターミナルがある。1987年有明テニスの森公園に開閉式屋根をもつ有明コロシアムが開設された。その後東京湾臨海副都心開発に伴い,1995年には東京臨海新交通「ゆりかもめ」が,1996年には東京臨海高速鉄道が開通して都心と結ばれた。1996年に首都圏最大級の東京国際展示場(東京ビッグサイト)が開業したほか,東京ファッションタウンビル(TFTビル),水の科学館なども立地。

有明
ありあけ

佐賀県中南部,白石町西部の旧町域。有明海に面する。 1955年錦江村,竜王村が合体して有明村が発足。同年南有明村と合体し,1962年町制。 2005年白石町,福富町と合体して白石町となる。米作地帯で,ノリ養殖も行なわれる。中心集落は戸ヶ里。東部は中世以降の干拓地で,前面には国営有明干拓地がある。西部に杵島山に続く白岩山 (341m) がある。

有明
ありあけ

長崎県南東部,島原市北西部の旧町域。島原半島の北東海岸にある。 1955年大三東村と湯江村が合体して有明村となり,1961年町制。 2006年島原市に編入。雲仙岳北側の舞岳から扇状に広がった大地には河川も多く,流域には豊かな畑作地帯が広がる。ジャガイモ,ハクサイ,レタスなど多様な野菜を栽培し,なかでもダイコンとニンジンは特産品として知られる。ほかに畜産とノリの養殖が行なわれる。

有明
ありあけ

手さげあんどんの一種,有明あんどんの略称。江戸時代,寝室の枕もとに置いて,灯心を減らし油を継ぎ添えて,夜明けまでともし続けたあんどん。就寝や書見時に使用するほか,取手をつかんで,夜中に厠などにも,さげていった。構造は,朱塗りや黒塗りなどで塗上げた風雅な小形立方体で,火袋または箱蓋の側板が,三日月形や満月形などに切抜かれていて,灯火を好みの明るさに調節することができた。 (→あんどん )

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改訂新版 世界大百科事典 「有明」の意味・わかりやすい解説

有明(鹿児島) (ありあけ)


有明(佐賀) (ありあけ)


有明(長崎) (ありあけ)


有明(熊本) (ありあけ)

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デジタル大辞泉プラス 「有明」の解説

有明

熊本県天草市にある道の駅。国道324号に沿う。

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世界大百科事典(旧版)内の有明の言及

【穂高[町]】より

…一帯は古くから稲作が行われたところで,現在は烏川扇状地の豊富な湧水を利用してワサビ栽培やニジマスの養殖が行われ,特に穂高ワサビは全国的に名高い。常念岳,槍ヶ岳,穂高岳などの登山口にあたり,有明温泉(単純硫化水素泉,78℃),中房温泉もあって訪れる観光客が多い。町出身の荻原守衛の作品を展示する碌山(ろくざん)美術館,わさび園などを巡る信濃路自然歩道安曇野ルートが整備され,北アルプスと安曇野の自然を生かした観光開発も盛んである。…

※「有明」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」