民泊(読み)ミンパク

デジタル大辞泉 「民泊」の意味・読み・例文・類語

みん‐ぱく【民泊】

旅館業の許可を得ていない一般の民家や空き家・空室などを宿泊施設として利用すること。→民宿旅館業法

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共同通信ニュース用語解説 「民泊」の解説

民泊

一般住宅を旅行者に有料で提供する宿泊形態。2018年6月施行の住宅宿泊事業法で、都道府県などへの届け出を条件に営業可能となった。当時急増していた訪日客の受け入れ、東京五輪・パラリンピック時の宿不足解消などの狙いがあったが、新型コロナウイルス禍で訪日客が急減。民泊の管理物件も減った。ほか旅館業法に基づく簡易宿所政府国家戦略特区制度で認められた民泊といった形態もある。

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精選版 日本国語大辞典 「民泊」の意味・読み・例文・類語

みん‐ぱく【民泊】

  1. 〘 名詞 〙 民家に宿泊すること。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「民泊」の意味・わかりやすい解説

民泊
みんぱく

住宅やマンションの空き部屋などに、有料で旅行者らを泊めるサービス。もともとリゾート地や大都市の住宅を利用した宿泊事業として行われていたが、2008年前後にインターネットを通じて貸し手(個人)と借り手(旅行者)を仲介するサービスがアメリカで誕生し、世界的に普及した。(1)大規模イベントや季節で変動する宿泊需要の柔軟な受け皿となる、(2)低料金で提供できる、(3)空き家などを有効活用できる、などの利点があり、海外の民泊仲介業者には、年間サイト予約者数が億人単位のアメリカのAirbnb(エアビーアンドビー)などがある。日本では、急増する訪日観光客(インバウンド)の受け皿として注目され、新型コロナウイルス感染症(COVID(コビッド)-19)の流行で一時停滞したものの、民泊を普及するための規制緩和が進んだ。ただ、規制緩和や民泊自体に反対する観光地、ホテル・宿泊業者、地方自治体もあり、また、法令に基づかない「ヤミ民泊」が横行しているのが実態である。なお、民泊は、個人の間でモノやサービスを貸し借りするシェアリング・エコノミーの典型例である。

 訪日旅行者の増加は個人消費を刺激するうえ、民泊は、人口減少による空き家対策にもつながるとして、日本政府は民泊普及のための規制緩和と制度づくりに取り組んでいる。2015年(平成27)、東京都大田区と大阪府が、国家戦略特別区域法を活用し、旅館業法適用除外により民泊を容認する条例を制定。2016年には旅館業法施行令を改正し、民泊を民宿と同じ簡易宿所と位置づけ、面積基準などを緩めて営業許可を取りやすくした。さらに営業日数上限(年間180日)などの条件を設けて、2018年に住宅宿泊事業法(平成29年法律第65号、民泊新法)を施行し、民泊を全国で解禁した。民泊を提供する物件の所有者、管理業者、仲介業者に届出・登録を義務づけ、公衆衛生の確保や周辺住民とのトラブル防止のルールをつくった。その後、新型コロナウイルス感染症流行の影響で、届出・登録件数(2023年1月時点で民泊できる住宅1万8557件、管理業者2532件)は伸び悩んでいるが、感染症の終息を想定し、2023年度(令和5)には、国が指定した講習などを受ければ、不動産の管理・賃貸に関する資格や事業経験のない人でも管理業者に登録できるように規制を緩め、民泊事業に参入しやすくする。

[矢野 武 2023年3月17日]

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知恵蔵 「民泊」の解説

民泊

ホテルや旅館などの宿泊施設の代わりに、一般家庭などが空き部屋などに有料で旅行者を宿泊させること。訪日外国人客の増加により宿泊施設が不足する中で、インターネットを利用して部屋の貸し手と借り手を仲介する新たな民泊ビジネスが登場し、国などが民泊の実態調査や規制のあり方の検討を始めている。訪日外国人旅行客は、2013年に初めて1000万人を超え、15年には1973万人余りと急増している。
宿泊施設を営むには旅館業法に基づく営業許可が必要だが、一時的な受け入れは営業に当たらない。これまで民泊は、宿泊施設の不足する地域において、国体などのイベントや修学旅行で一時的に多くの人が訪れるような場合に活用されてきた。この場合は旅行業に当たらず、自治体や主催者が受け入れ家庭を募集する。また、グリーン・ツーリズムの高まりの中で、一時的な受け入れではなく、農村などで滞在型の余暇活動を提供する農家民宿も増えたが、これらは旅館業の営業許可を取得していても民泊と称する場合も多い。
最近、新しいサービスとして登場したのが、インターネットを活用した民泊の仲介である。世界の旅行者に民泊情報をウェブ上で提供するAirbnb(エアビーアンドビー)は、2008年創業の米国の企業で、貸したい空き部屋を登録しておくと借りたい旅行者が申し込む仕組み。日本でも既に2万件以上の登録物件があるとされる。しかし、旅館業に当たる実態がありながら営業許可を得ていない貸し手が多いと見られ、賃貸物件を無断で転貸する不正行為も報告されている。一方、外国人客の急増への対応として旅館業法の適用除外を認める国家戦略特区は、自治体の条例制定が進まず、15年末までに大阪府と東京都大田区で制定されただけである。こうした状況を受けて、厚生労働省と観光庁は15年11月に民泊サービスのあり方を巡る検討を始めた。

(原田英美 ライター/2016年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

知恵蔵mini 「民泊」の解説

民泊

個人が住宅の空室などを用いて有料で宿泊を提供するサービスのこと。借り手のほとんどは外国人旅行者であり、貸し手(ホスト)たちは自分で宿泊料を決め、各自高級マンションから古い4畳半まで様々な部屋を提供している。2008年に米国で始まった旅行者とホストを結びつけるウェブサービス「Airbnb(エアビーアンドビー)」が広めた宿泊形態で、同サイトには世界191カ国・地域の3万4000以上の都市のホストが登録している。14年には日本法人も発足し、15年8月現在、全国で約1万3000の部屋が登録されるまでになった。また、清掃や通訳派遣などホスト向けサービスを代行する企業も次々と設立されている。しかし旅館業法で必要な営業許可を得ていないホストが多いとみられ、日本政府が実態調査に乗り出している。

(2015-9-1)

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