大分・宮崎両県にまたがる祖母山(1756メートル)、傾山(1605メートル)を中心とする国定公園。1965年(昭和40)指定。面積220平方キロメートル。祖母、傾のほか、大崩(おおくえ)山、矢筈(やはず)岳、行縢(むかばき)山、五ヶ所高原などの山々、高千穂(たかちほ)峡、祝子川(ほうりがわ)渓谷、藤河内(ふじがわち)渓谷などを含む。地質は花崗(かこう)岩を主体とし、これに阿蘇(あそ)溶岩が加わり、古生層、中生層もみられる。広く森林に覆われ、とくに大崩山の原生林は深い峡谷とあわせて貴重なものである。これらの区域は鉱物資源が豊富で、かつては尾平(おびら)、見立(みたて)、槇峰(まきみね)、土呂久(とろく)などの鉱山が栄えた。高千穂町三田井(みたい)は阿蘇溶岩を侵食した高千穂峡のほか、天孫降臨伝説の地として知られ、高千穂神社があり、また岩戸(いわと)には天岩戸(あまのいわと)神社がある。高千穂各地では秋から冬にかけて夜神楽(よかぐら)が催され、貴重な伝統行事である。登山コースは高千穂町(宮崎県)五ヶ所、豊後大野(ぶんごおおの)市(大分県)緒方町(おがたまち)尾平鉱山・同上畑(うわばた)などからで、祖母傾縦走コース約18キロメートルがある。
[横山淳一]
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