経常利益(読み)ケイジョウリエキ(英語表記)ordinary profit

翻訳|ordinary profit

デジタル大辞泉 「経常利益」の意味・読み・例文・類語

けいじょう‐りえき〔ケイジヤウ‐〕【経常利益】

企業の通常の経営活動により、毎期経常的・反復的に生じる利益。損益計算書では、営業利益営業外収益を加え、営業外費用を差し引いて表示する。けいつね。

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共同通信ニュース用語解説 「経常利益」の解説

経常利益

ある会計期間中に企業活動で得られた収益を示す指標の一つ。本業のもうけに当たる営業利益から、借入金支払利息などの営業外費用を差し引き、受取配当金などの営業外収益を加えた決算数字。財務を含めた企業の総合的な実力を表すとされる。これに一時的な損益である特別損益を加味し、法人税などを差し引くと、純利益になる。

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精選版 日本国語大辞典 「経常利益」の意味・読み・例文・類語

けいじょう‐りえきケイジャウ‥【経常利益】

  1. 〘 名詞 〙 営業利益(営業収益から営業費用を差し引いた額)に営業外収益を加え、営業外費用を差し引いた額。

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改訂新版 世界大百科事典 「経常利益」の意味・わかりやすい解説

経常利益 (けいじょうりえき)
ordinary profit

企業活動において,毎期間反復して継続的に発生する利益をいう。マイナスの場合は経常損失という。経常利益(損失)は,企業が目的とする本来の営業活動に伴い発生する営業損益と,その活動に付随して反復的に生ずる営業外損益により構成され,計算上は,売上高から売上原価と企業目的達成に不可欠な販売費,人件費などの営業費(販売費および一般管理費)を控除して算出された営業利益に,おもに財務上の損益である営業外損益を加減して算出される。経常利益は,取引や項目の発生の頻度および金額の多寡による概念で,正常な状態で企業活動が行われた場合に継続的に発生すると期待される利益をさす。それは,正常状態における企業の業績(収益力)を示し,過去,現在および将来における企業の活動状況を判断するうえで,きわめて重要な指標である。当期の業績を重視する当期業績主義の考え方によると,この利益が当期純利益期間利益)とみなされる。企業活動においては,上記の正常性をもった損益のほか,たとえば突発的な災害損失,巨額の固定資産(土地など)の売却損益,過年度の償却済債権の回収益などの臨時損益や前期損益修正項目が発生する。この臨時損益は,正常性がなくても,その期の処分しうる利益を計算するためには,考慮する必要がある。また現行商法下では,処分できる利益を計算する際に,引当金の目的外取崩額などを考慮しなければならない。これらの臨時損益,前期損益修正項目,引当金の目的外取崩額は特別損益と呼ばれ,その額を経常利益に加減したものが,当期の処分できる利益となる。このように,性質いかんを問わず,当期に発生したすべての損益を重視する考え方が当期業績主義に対し包括主義と呼ばれる。包括主義のもとでも,損益計算は区分式で行いうるから,経常利益も示される。日本では,企業会計原則は,当初当期業績主義を採用していたが,1974年の修正で商法との調整をはかり,包括主義を採用し,今日に至っている。
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人材マネジメント用語集 「経常利益」の解説

経常利益

・pretax profit/current profit
・経常利益=営業利益+営業外収益-営業外費用
・経常利益とは損益計算上において、営業利益から、受取利息、受取配当金、仕入割引などの本業以外の稼ぎである「営業外収益」を加え、支払利息、割引料、社債利息
などの「営業外費用」を差し引いたものを指す。
・企業の財務活動から生じる収益と費用は経常的に発生する可能性があるため、企業の総合的な収益力を示す指標として捉えられる。また、経常利益は人事関連において賞与原資を算出する際の業績指標として活用されることがある。
・活用するメリットは、企業活動における成果に対する意識付けを強化することが可能であること。一方、デメリットは、管理部門以外の人材にとっては、会社の財務活
動の成果も含まれるために納得感が低い恐れがあること等が挙げられる。
・尚、米国会計基準での損益計算書には、日本会計基準での経常損益区分はない。日本会計基準で営業外費用、特別損失に区分される項目のうち、事業に関するものは、営業費用に計上される。従って、特別損益に計上する固定資産の売却益などの収支を加減した日本基準の「経常利益」は、米国基準の「税引き前利益」に近いものとして捉えられる。

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知恵蔵 「経常利益」の解説

経常利益

企業の損益計算上の利益の一形態。企業の営業活動から直接生じた利益(営業利益)に、金利などの営業外収益を加えたもの。企業の経営状態を最もよく示す数値として、一般的に用いられている。純利益との相違は、法人税など税金を含むことと、資産の売却益や評価益などの臨時的損益を含んでいない点。事業活動が活発な企業では営業利益が一番大きく、経常利益、純利益の順で減るのが普通である。高度成長期の日本の企業は営業利益もさることながら、余資(余剰資金)の運用といわれる株式投資、不動産投資などによって得られる営業外収益が大きな割合を占めた。しかしバブル経済崩壊後は、そうした投資に回された資金が大きな足かせとなり、その回収活動によって、本来の営業活動での発展が思うように進まなかった。本業との兼ね合いの観点から、営業利益と経常利益とのバランスに注意する必要がある。

(小山明宏 学習院大学教授 / 2007年)

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ASCII.jpデジタル用語辞典 「経常利益」の解説

経常利益

企業が通常の経済活動で毎期に経常的・反復的に生じる利益のこと。売り上げから本業にかかったコストを差し引いたのが営業利益であり、この営業利益に財務活動などの本業以外の損益を加えたのが経常利益である。企業本来の本業における強さを見るときには営業利益を見て、財務活動などを加えて企業全体の強さを見るときに経常利益を見ることになる。一般的には売上高経常利益率が、企業の収益力に関する基本的な指標とされている。

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株式公開用語辞典 「経常利益」の解説

経常利益

損益計算書上において、営業利益(営業損失)から営業外収益を加え、営業外費用を差し引いた利益のことを意味します。算出後、利益ではなく損失となった場合は経常損失といいます。経常利益の成長率をあらわす指標として、増益率と呼ばれる指数があります。

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保険基礎用語集 「経常利益」の解説

経常利益

生命保険事業本来の営業活動により、毎年継続的に発生する保険料等収入、資産運用収益などの収益(計上利益)から、保険金等支払金、事業費などの費用(経常費用)を差し引いた残額を指します。

出典 みんなの生命保険アドバイザー保険基礎用語集について 情報

会計用語キーワード辞典 「経常利益」の解説

経常利益

企業の本業による儲けである営業利益に、資金調達コストである財務活動や投資活動による損益を加えた利益。企業全体の収益力を示します。

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世界大百科事典(旧版)内の経常利益の言及

【営業利益】より

…営業利益の計算は,一般には,純売上高(総売上高から売上値引・売上戻り高などを控除したもの)から売上原価を差し引いて売上総利益(=粗利益)を算出し,その売上総利益から一般管理費・販売費を差し引いて営業利益を算出する形でなされる。営業利益に,おもに財務上の収益・費用からなる営業外損益を加減したものが経常利益で,それに特別損益(臨時損益,前期損益修正項目,商法による引当金の目的外取崩額など)を加減して当期純利益(期間利益)が算定される。【前田 貞芳】。…

【損益計算書】より

…これに対して後者は,当該期間の処分可能利益を表示しようとするため非経常的・異常な損益および過年度の損益の修正も損益計算書に含む。現行の日本の制度では,いずれも後者の立場を採るが,当期業績をその途中で経常利益として表示することとして前者の立場への配慮をしている。また,損益計算書はその内容を区分して表示するか否かで無区分損益計算書と区分損益計算書に分けられる。…

※「経常利益」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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