肝煎り(読み)キモイリ

デジタル大辞泉 「肝煎り」の意味・読み・例文・類語

きも‐いり【肝煎り/肝入り】

双方の間を取りもって心を砕き世話を焼くこと。また、その人。「新聞社の―で30年ぶりの対面がかなう」
江戸幕府職名。同職中の支配役・世話役高家肝煎寄合肝煎など。
江戸時代村役人をいう。庄屋しょうや名主なぬしなど。
奉公人遊女などを周旋すること。また、それを業とする人。
「―は道々うそを言ひ含め」〈川柳評万句合〉
[類語]仲介取り持つ橋渡し仲立ち媒介取り次ぐ介する世話取り持ち口利き口入れ口添え斡旋あっせん周旋紹介仲買媒酌お節介仲裁調停架け橋渡りを付ける引き合わせる中に立つ間に立つ取り成す

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精選版 日本国語大辞典 「肝煎り」の意味・読み・例文・類語

きも‐いり【肝煎・肝入】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「肝を煎る」すなわち「心づかいをする」の意から )
  2. ( ━する ) あれこれ世話をすること。斡旋(あっせん)すること。また、その人。とりもち。世話役。〔文明本節用集(室町中)〕
    1. [初出の実例]「毎年のくれに借入の肝煎(キモイリ)して此間銀を取定まって」(出典浮世草子世間胸算用(1692)四)
    2. 「会合が市役所の肝入(キモイ)りで催されることになっていて」(出典:頑な今日(1963)〈島尾敏雄〉)
  3. 町や村の長。名主(なぬし)庄屋などをいう。
    1. [初出の実例]「田地旱水損在所者、下代肝煎早々罷出」(出典:吉川氏法度(1617)四六条)
  4. 江戸幕府職制の一つ。同職の中で、頭だって職務を取り扱う者。「古事類苑」には、官職名として親王家肝煎、高家肝煎、普請方同心肝煎、餌差肝煎、寄合肝煎等の名が見えている。
    1. [初出の実例]「京都年頭御使は、肝煎三人にて」(出典:職掌録(18C中‐後))
  5. ( ━する ) 奉公人、里子、遊女などを周旋すること。また、それを業とする人。
    1. [初出の実例]「其子を養はかすに二百匁。肝(キモ)入が分一に廿一匁取」(出典:浮世草子・新色五巻書(1698)五)

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