著作権法(読み)チョサクケンホウ(英語表記)copyright law

デジタル大辞泉 「著作権法」の意味・読み・例文・類語

ちょさくけん‐ほう〔‐ハフ〕【著作権法】

著作者の権利およびこれに隣接する権利を定め、その保護を目的とする法律。日本では明治32年(1899)に初めて制定された。現行のものは昭和46年(1971)施行。
[補説]平成26年(2014)の改正により、出版権の範囲が拡大され、紙の出版物だけでなく電子書籍も出版権の対象に含められた。また、平成30年(2018)のCPTPP発効にともなう改正では、著作物保護期間が著作者の死後50年から70年に延長された。

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共同通信ニュース用語解説 「著作権法」の解説

著作権法

美術、文芸、学術、音楽に属する著作物や放送などについて著作者の権利を定め、保護するための法律。複製権上演権などのほか、著作者が公衆に向けて著作物を送信する権利を専有することも規定している。原則として著作物の創作時から著作者の死後70年が経過するまで権利は保護され、譲渡や相続もできる。侵害した場合は10年以下の懲役か1千万円以下の罰金、または懲役と罰金の両方が科される。

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精選版 日本国語大辞典 「著作権法」の意味・読み・例文・類語

ちょさくけん‐ほう‥ハフ【著作権法】

  1. 〘 名詞 〙 著作権を保護し、文化の発展に寄与することを目的とした法律。日本では明治三二年(一八九九)、初めて制定。現行のものは、昭和四五年(一九七〇)制定。
    1. [初出の実例]「今度改正の著作権法(チョサクケンハフ)の如き従来のに比べると明かに著作者の権利を保護してあるが」(出典:嚼氷冷語(1899)〈内田魯庵〉)

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図書館情報学用語辞典 第5版 「著作権法」の解説

著作権法(日本)

日本の著作権法制は,1869(明治2)年の「出版条例」に始まり,1899(明治32)年のベルヌ条約加盟の際に,「著作権法」(旧法)が制定され,近代的な法制度として整備された.旧法は1970(昭和45)年に全面改正され,現在の「著作権法」が公布された.著作者の権利として,公表権,氏名表示権,同一性保持権からなる著作者人格権と,複製権,上演権,翻訳権,二次的著作物利用権などからなる財産的権利としての著作権とを認め,さらに,実演家,レコード製作者,放送事業者などに対して,録音権・録画権,放送権,貸与権などの著作隣接権や請求権を認めている.また,私的使用や図書館などにおける複製など,一定の条件下においては,著作権が制限される.メディアの急速な多様化を受けて,「著作権法」は近年改正を繰り返しているほか,2018(平成30)年「マラケシュ条約」(盲人,視覚障害者その他の印刷物の判読に障害のある者が発行された著作物を利用する機会を促進するためのマラケシュ条約)の批准を受けて,障害者の情報アクセス機会の充実に向けた改正が行われた.

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「著作権法」の意味・わかりやすい解説

著作権法
ちょさくけんほう
copyright law

一般的には各国で著作権について制定された法律。日本では,1869年の出版条例を先駆とし,1893年に版権法が制定された。そして 1899年に版権法,脚本樂譜条例,写真版権条例をまとめて著作権法が制定された。この著作権法は 15回も改正され,第2次世界大戦後も通用していた。 1962年から改正作業が始まり,1970年4月に新しい著作権法として成立し (昭和 45年法律 48号) ,1971年1月から施行された。その後,インターネット時代に対応した著作物の保護を行なうため,1996年 12月世界知的所有権機関 WIPO著作権条約が採択され (2002年3月6日発効) ,ベルヌ条約を補強することになった。日本は 1999年までに著作権法の改正などの法整備を行ない 2002年に批准した。なお同時に採択された WIPO実演・レコード条約は 2002年5月 20日に発効した (日本も同年批准) 。ベルヌ条約は 1886年ヨーロッパ諸国を中心に結ばれたもので,2002年8月現在 98ヵ国が加盟している。ただしこの条約は,ベルリン規定 (1908) ,ローマ規定 (1928) ,ブリュッセル規定 (1948) ,ストックホルム規定 (1967) ,パリ規定 (1971) と改正されたが,すべての加盟国が改正を承認しているわけではない。そのうえアメリカおよび中南米諸国はパン・アメリカ条約を結んでいる。そこでベルヌ条約とパン・アメリカ条約を調整するために万国著作権条約が 1952年に結ばれたが,国際的にはいまだ不統一は残っている。

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知恵蔵 「著作権法」の解説

著作権法

文化の発展に寄与することを目的として、著作物並びにその実演、レコード、放送および有線放送についての著作者とそれに隣接する諸権利を保護することを定めた法律。文化庁が所管官庁。技術進歩に伴う利用形態の多様化や複雑化を背景とした権利者間の利害の調整あるいはグローバル化を踏まえた国際間の権利の整合性を図るために累次改正が行われている。著作物の対象は小説、音楽、絵画、地図、映画、写真、プログラム等のほか二次的著作物や編集著作物、データベースなど広範囲に及ぶ。権利の内容としては、著作者の固有の権利である著作者人格権(公表権、氏名表示権、同一性保持権)と著作物に対する権利としての複製権、上演権、演奏権、上映権、公衆送信権、展示権、頒布権、譲渡権、貸与権、翻訳権などがある。日本では、著作権の成立について無方式主義をとり、権利期間は原則としてその創作から著作者の死後50年間。ただし、映画については公表後70年間である。デジタル社会、インターネット社会を迎えて、著作物の進化した多様な利用形態に応じて権利者保護を図っていく一方で、著作物の利用を過度に萎縮(いしゅく)させないように利用者の利便性の向上を促進することは喫緊の課題であるとともに難しいテーマとなっている。

(桜井勉 日本産業研究所代表 / 2008年)


著作権法

文化の発展を目的として、著作物並びにその実演、レコード、放送などに対する著作者とそれに隣接する諸権利を保護することを定めた法律。著作物の対象は小説、音楽、絵画、地図、映画、写真、プログラムなど広範囲に及ぶ。権利の種類も、著作者人格権としての公表権、氏名表示権、同一性保持権のほか、著作物に対する権利として複製権、上演権、演奏権、上映権、公衆送信権、展示権、頒布権、貸与権、翻訳権などがある。日本では、著作権の成立について無方式主義をとり、権利期間は原則その創作から著作者の死後50年間。ただし、映画については公表後70年間。2004年の法改正では、海外販売目的の音楽レコードの国内還流防止措置が採られたほか、漫画などの書籍・雑誌にもビデオやCD同様に貸与権が付与された。技術進歩に伴う表現方法の多様化、複雑化により、その保護と共に権利処理が大きな課題となっている。11年の地上デジタル放送移行を控え、懸案となっていたインターネット回線を利用した放送形態であるIPマルチキャスト放送のうち、地上波放送の同時再送信については、著作権法上は「自動公衆送信」ではなく「有線放送」と同様の取り扱いをすることで許諾権問題が解決する見込みがついた。

(桜井勉 日本産業研究所代表 / 2007年)

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ASCII.jpデジタル用語辞典 「著作権法」の解説

著作権法

著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、著作の保護を目的とする法律。現行のものは1970年(昭和45)に制定され、翌71年に施行された。2004年に開かれた通常国会で、海外向け邦楽CDの逆輸入禁止や貸し本屋の著作権料支払いを義務付けた改正著作権法が成立。これによって音楽CDと同様に出版物にも貸し出しの際、著作者の権利を認める「貸与権」が明記され、05年1月に施行された。

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世界大百科事典(旧版)内の著作権法の言及

【著作権】より

…このような動きは日本の江戸期にも見られ,たとえば本屋仲間が重板や類板の防止を幕府に願い出て出版に関し特権を得る一方,幕府のほうも出版の取締りを行った。
[著作権法の生成]
 出版者の保護と検閲が表裏一体となった制度ではいまだ著作者の保護は十分とはいえなかった。やがて著作者自身の保護に焦点を合わせる法律思潮が生じ,1709年世界最初の著作権法であるアン法がイギリスに登場した。…

※「著作権法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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