還元(読み)かんげん

精選版 日本国語大辞典 「還元」の意味・読み・例文・類語

かん‐げん クヮン‥【還元】

〘名〙
事物をもとの形、性質、状態などにもどすこと。基本的なかたちにもどすこと。また、結果として得られたものを、原因となったところにもどすこと。
道程(1914)〈高村光太郎戦闘「すべての調和は破れた 分子は還元せられた」
星座(1922)〈有島武郎〉「それを自己といふ人間にまで還元することなく、思ひあがった態度で吹聴してゐるのに比べると」
② 分子、原子、イオン電子を取り入れ、正の原子価を減じまたは負の原子価を増すこと。⇔酸化。〔舎密開宗(1837‐47)〕
③ 経済学で、ある期間の収益の平均を、その期間の利率に基づいて資本に換算すること。還元法。
④ 一つの理論をより簡単な理論から派生したものとして説明すること。たとえば、より複雑な事態をより単純な事態から派生したものとして説明すること。

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デジタル大辞泉 「還元」の意味・読み・例文・類語

かん‐げん〔クワン‐〕【還元】

[名](スル)
物事をもとの形・性質・状態などに戻すこと。「利益の一部を社会に還元する」「濃縮果汁還元する」
酸素化合物から酸素を奪うこと。または、ある物質が水素と化合すること。一般的には、原子または原子団電子を与えること。→酸化
[類語](1復元回復挽回復旧復興復調復活蘇生そせい再生起死回生更生回天蘇る生き返る再興中興復帰カムバックリバイバル再起返り咲く息を吹き返す/(2酸化塩化硫化炭化中和巻き返す盛り返す

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知恵蔵 「還元」の解説

還元

酸化」のページをご覧ください。

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「還元」の意味・わかりやすい解説

還元
かんげん
reduction

酸化の反対の過程のことで,常に酸化に伴って起る。次の3つに分けられる。
(1) 酸化物から酸素の全部または一部を取去ってもとに戻す変化。たとえば赤熱した酸化第二銅に水素ガスを通じると酸化物から酸素が奪われて金属銅になる変化 CuO→Cu がある。
(2) 物質が水素と化合して新化合物が生成する変化。たとえばケトンあるいはアルデヒドからアルコールを生成する変化 RCOR→RCHOHR やニトロ化合物からアミンを生成する変化 C6H5NO2 →C6H5NH2 などがある。
(3) 広義には物質に電子を添加する変化。たとえば酢酸鉛の水溶液中に亜鉛粒をつるしておくと,その表面に鉛が美しい樹枝状に析出する変化 Pb2+→Pb や,電解の際に陰極において起る変化などがある。

還元
かんげん

変格」のページをご覧ください。

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改訂新版 世界大百科事典 「還元」の意味・わかりやすい解説

還元 (かんげん)

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

化学辞典 第2版 「還元」の解説

還元
カンゲン
reduction

[別用語参照]酸化還元反応

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

栄養・生化学辞典 「還元」の解説

還元

 物質から酸素を奪うこと,物質に水素を与えること,物質に電子を与えること.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の還元の言及

【酸化・還元】より

…狭義の定義として,物質が酸素と結合することを酸化oxidationといい,酸化物が酸素を失うことを還元reductionという。たとえば,銅Cuを空気中で加熱すると, 2Cu+O2―→2CuOの反応をして酸化銅CuOとなる。…

※「還元」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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