《ドイツのひとびと》(読み)どいつのひとびと

世界大百科事典(旧版)内の《ドイツのひとびと》の言及

【ベンヤミン】より

… 1933年,彼は多くの人と同様に亡命へ踏みきるが,その直前,滅亡にしたものを救出するのに似た仕事を二つ仕上げた。20世紀のもっとも美しい散文作品に数えられる回想記《1900年前後のベルリンでの幼年時代》(1932‐38)と,過去1世紀間のドイツ人の書簡から人間的な態度をまざまざと表示しているものを発掘し編集した書簡集《ドイツのひとびと》(1936)とである。だがこのころから彼が畢生(ひつせい)の仕事として従事していたのは,19世紀のパリに集中的にあらわれていた(というより,むしろ隠されていた)ヨーロッパ近代文化の問題性,〈進歩〉と破滅的退歩とのからまり合った弁証法的関連を,現在の危機のさなかから,まさに危機にさらされた者の眼でもって浮上させ,〈歴史哲学的な関連のなかで〉根底から,しかもあくまで個々の具体的なものに即して検討し解明してゆこうとする作業,いいかえれば近代人の自己批判としての近代史批判という巨大な作業であって,これはついに完成のいとまをもたなかった。…

※「《ドイツのひとびと》」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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