《偉大なるギャツビー》(読み)いだいなるぎゃつびー

世界大百科事典(旧版)内の《偉大なるギャツビー》の言及

【フィッツジェラルド】より

…彼のほうでもまた世間の期待と要望にこたえて《フラッパーと哲学者》(1920),《ジャズ・エージの物語》(1922),《すべて悲しき若者たち》(1926)と,題名からして新時代風な作品集にまとめられる気のきいた短編の数々や,長編《美しくも呪われた人たち》(1922)などを書きとばしてゆく。しかし富と自由にあこがれ都会風の洗練と優美を愛した彼の内面には,誠実・真摯(しんし)を貴ぶ古風なモラルが生きていて,代表作《偉大なるギャツビーThe Great Gatsby》(1925)では,すでに〈神が死んだ〉戦後のニューヨークの風俗の中に〈人生の希望をとらえる高感度の感受性〉をもったジェー・ギャツビーなる田舎青年を登場させ,現代の〈荒地〉の中を生き抜いてゆくその〈浪漫的心情〉の軌跡を,一抹の皮肉をたたえた心からの嘆賞をこめて描き上げている。過労と酒と妻の精神異常に苦しめられた彼は,1930年代に入って情勢の一変したアメリカ社会から急速に忘れられてゆき,はてはハリウッドに移って映画のシナリオ作家になるが,そうした逆境の中で書いた《夜はやさし》(1934)や未完の遺作《最後の大君》(1941)には,台頭する新興勢力の前についえ去ってゆく古い美徳への挽歌が鳴っている。…

※「《偉大なるギャツビー》」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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