《口遊》(読み)くちずさみ

世界大百科事典(旧版)内の《口遊》の言及

【あめつち】より

…《源順集》に〈あめつち〉の歌48字をそれぞれ歌の初めと終りにおいた歌48首があるが,ア行ヤ行のエの別は示されていない。源順の弟子源為憲の《口遊(くちずさみ)》(970ころ成立)に〈今案,世俗誦阿女都千保之曾,里女之訛説也(今案ずるに,世俗〈あめつちほしそ〉と誦するは,里女の訛説なり)〉とあるのは順,為憲の時代にア行ヤ行のエがすでに合一していたことを示すものである。いろは歌【大野 晋】。…

【源為憲】より

…源順を師として,文章生から蔵人,遠江,美濃,加賀,伊賀の国守を歴任した。《本朝文粋》《和漢朗詠集》などに詩文を残すが,冷泉天皇の皇女尊子内親王のために《三宝絵詞》(984),後の太政大臣藤原為光の長子誠信のために《口遊(くちずさみ)》(970),藤原道長の子頼通のために《世俗諺文(げんもん)》(1007)を書いた,教科書作者でもある。【益田 勝実】。…

【和算】より

…日本で,掛算が〈一一の一〉から始まるようになったのは,織豊時代のことである。平安時代に著された《口遊(くちずさみ)》(970)は,貴族の子弟のために家庭教師が著作した教科書であるが,この中に〈九九八十一〉から始まる〈九九〉と,竹をたばねたとき,その周囲の竹の本数を知って,竹の総本数を求める問題がある。
[鎌倉・室町時代]
 この時代に,日本人がどのような数的知識をもっていたかを知る資料はきわめて少ない。…

※「《口遊》」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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