ウタリ対策のあり方に関する有識者懇談会(読み)うたりたいさくのありかたにかんするゆうしきしゃこんだんかい

世界大百科事典(旧版)内のウタリ対策のあり方に関する有識者懇談会の言及

【アイヌ】より

…この間,94年8月にはアイヌ民族の最初の国会議員として萱野茂が参議院に登院した。 このような新たな動向のなかで,日本政府は95年3月,内閣官房長官(五十嵐広三)の私的諮問機関として〈ウタリ対策のあり方に関する有識者懇談会〉を設置し,同〈懇談会〉は翌96年4月1日,官房長官に報告書を提出した。その主な内容は,(1)〈北海道旧土人保護法〉〈旭川市旧土人保護地処分法〉を廃止すること(〈旧土人〉という用語は不適切で,両法は現在その存在意義を失っているとした),(2)〈アイヌの人々〉は〈少なくとも中世末期以降の歴史の中でみると〉,〈北海道に先住していたことは否定できない〉こと,また現在も〈民族としての帰属意識が脈々と流れており,民族的な誇りや尊厳のもとに,個々人として,あるいは団体を構成し,アイヌ語や伝統文化の保持,継承,研究に努力している人々も多い〉という状況にかんがみれば,〈我が国におけるアイヌの人々は,引き続き民族としての独自性を保っているとみるべきであり,近い将来においてもそれが失われると見通すことはできない〉こと(アイヌを先住民族として認知した),(3)〈アイヌ文化は,歴史的遺産として貴重であるにとどまらず,これを現代に生かし,発展させることは,我が国の文化の多様さ,豊かさの証となるものであり,特に自然とのかかわりの中で育まれた豊かな知恵は,広く世界の人々が共有すべき財産である〉こと,(4)そのため,新たな施策を展開する必要があるが,その場合,〈ウタリ〉という呼称を〈アイヌ〉に改め,具体的には,(a)アイヌに関する総合的かつ実践的な研究の推進,(b)アイヌ語を含むアイヌ文化の振興,(c)伝統的生活空間の再生,(d)アイヌやアイヌ文化に関する理解の促進,の4点を柱とした施策を推進するとともに,(a)~(d)を実現するための立法措置を講じること,等であった。…

※「ウタリ対策のあり方に関する有識者懇談会」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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