写取（読み）うつしとる

精選版 日本国語大辞典

うつし‐と・る【写取】

〘他ラ五（四）〙

① そっくりそのまま書き取る。書き写す。転写する。

※権記‐寛弘八年（1011）九月一五日「正文已在_二外記_一、是奏聞之後下_二装束司_一、装束司写取可_レ返_二上外記_一也」

※思ひ出す事など（1910‐11）〈夏目漱石〉六「子供の時聖堂の図書館へ通って、徂徠の蘐園十筆(けんゑんじっぴつ)を無暗に写し取った昔を」

② そっくりそのまま受け入れる。もとの形そのままを模して作る。

※宇津保（970‐999頃）忠こそ「このつきていにし師、法など受けつくして、〈略〉いと賢き人にて、みなうつしとりておこなふをも、しろしめさで」

※三道（1423）「近代作書する所の数々も、古風体を少しうつしとりたる新風也」

③ 鏡、写真などに姿が現われるように写す。

※浄瑠璃・国性爺合戦（1715）三「柄付の鏡取出し月にうつろふ父の顔、鏡の面にちかぢかと写し取て引くらべ」

出典　精選版 日本国語大辞典