世界大百科事典(旧版)内の唐式鏡の言及
【鏡】より
…その祖型となった鏡は興福寺金堂出土の唐花双鸞八花鏡や正倉院の鳥獣花背八角鏡のような左右に鸞を相対させ,上下に唐花を配した対称的構図の鏡で,このうちの唐花を瑞花に双鸞を双鳳に替え,瑞花双鳳鏡となる。これはまだ完全に和様化されていないので唐式鏡といわれており,変化した時期は988年(永延2)の年記をもつものがあるところから10世紀末から11世紀初めに当てられる。瑞花双鳳鏡はやがて瑞花を日本でよくみられる松や楓,梅に替え,鳳凰も空想的な鳥でなく親しみやすい鶴,尾長鳥,鴛鴦,雀などに替え,松鶴鏡,楓双鳥鏡,梅樹雉子鏡などとなり,さらに山岳,洲浜,水流,草花を加えて秋草双雀鏡,洲浜松樹双鶴鏡などといった風景文様を表したものへと発展し,12世紀の初め平安後期にいたり,日本的な情趣をもつ和鏡を完成させる。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」