準戦時体制(読み)じゅんせんじたいせい

世界大百科事典(旧版)内の準戦時体制の言及

【準戦体制】より

…広田弘毅内閣の馬場鍈一蔵相が,1936年10月関西財界有力者との懇談会の席上,政府の増税案を説明した際,〈現下の情勢は財政について準戦時経済体制の採用を必要ならしめており,今回の税制改革案はこれらの事情を考慮して立案した〉と語ったことから時局用語として用いられるようになった。その後37年7月7日に日中戦争が勃発し,戦争が華北の一部にかぎられていた初期には準戦時体制という用語が用いられたこともあったが,9月2日の政府による〈北支事変〉の〈支那事変〉への呼称変更,9月4~8日の第72臨時議会での臨時軍事費予算と戦時統制立法の可決などをへて,戦争の全面化が明白になるにつれ,準戦時体制は戦時体制へ移行したと考えられるようになった。なお一部では,1931年9月18日の満州事変勃発から日中戦争全面化の時期までの国内体制を指す用語として用いられた場合もあった。…

【非常時】より

…具体的には内政面では政党政治の否認,軍部と新官僚の発言権強化の容認,農山漁村経済更生運動による農民の組織化など,国際面では反中国・反国際連盟を中心とする排外主義の高唱,ワシントン海軍軍縮条約の期限切れを理由とする〈1935,36年の危機〉説の宣伝と軍備拡張の主張など,思想面では国体明徴運動にみられるような天皇崇拝と日本主義国体論による国民の思想統一などが,いずれも〈非常時〉の合言葉のもとにおこなわれた。これらの動きは,国民を国家総力戦体制に動員する方向に収斂されていったが,36年の二・二六事件後の広田弘毅内閣期には〈準戦時体制〉という新たな用語が用いられるようになった。【木坂 順一郎】。…

※「準戦時体制」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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