世界大百科事典(旧版)内の能本の言及
【能】より
…しかしこうした変化の一方,世阿弥のころから少しも変わらない面もある。構造面では能本(のうほん)の詞章やその小段(しようだん)構成など,技法面では謡の美を息扱いとリズムの細かな変化に求めることなどがそれである。なお,囃子は,世阿弥のころすでに笛,鼓(つづみ),太鼓(たいこ)が用いられていたが,小鼓(こつづみ),大鼓(おおつづみ)の区別があった確証はなく,現在の囃子の楽型が確認できる資料は,江戸時代初頭のものまでしかさかのぼれない。…
【謡曲】より
…能を文学作品としてみる立場は,初の注釈書である《謡抄》(1595)にすでにみることができるが,〈謡曲〉の語は1772年(明和9)刊の《謡曲拾葉抄》が最も早い使用例と思われる。それまでは〈能本〉〈謡本〉〈謡の本文〉などと称していたようである。近代に入って能の興隆や研究の発展に伴い,大和田建樹《謡曲通解》(1892),坪内逍遥《謡曲文は歌なりや文なりや》(《能楽》1905年8月号)など広く用いられるようになり,現在の《日本古典文学大系》《日本古典文学全集》の《謡曲集》などに受け継がれている。…
※「能本」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」