花押印(読み)かおういん

世界大百科事典(旧版)内の花押印の言及

【花押】より


[武家・庶民の花押]
 次に武家および庶民層では南北朝以降足利様が普及する中で,ほぼ16世紀ころから上記の公家花押の趨勢とは逆に,筆画の少ない筆順のわかりやすい花押,つまりは書きやすい花押が多くなる。また南北朝ころから一部禅僧の間に始まった印章を文書に押捺する風がやはり16世紀ころから今川,北条ら東国の大名に及び,花押に代えて印章を用いる傾向が強まると,この傾向が逆に花押に影響を与えて(1)花押を版刻にして墨を塗って押したり,花押を双鉤式(籠字(かごじ)式)に刻して,これを押した上で墨を塡めるなどの花押型や,(2)花押を印文のごとくみなして印章に取り入れた花押印などが用いられるようになる。版刻の花押型は中国の元代に使用されたといい,日本でも早く鎌倉時代後期に使用例が報告されているが,戦国時代になると奥州の岩城親隆,古河公方足利高基以下の使用が知られている。…

※「花押印」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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