《ウィクリフ派英訳聖書》(読み)うぃくりふはえいやくせいしょ

世界大百科事典(旧版)内の《ウィクリフ派英訳聖書》の言及

【聖書】より

…【森安 達也】
【近代各国語訳】
 中世においても,当時ヨーロッパ各国教会で公認のラテン語訳聖書《ウルガタ》にもとづき,これを逐語訳ないし意訳・翻案することがおもに《詩篇》や福音書などについて行われていたが,近代各国語による聖書完訳が本格化するのは宗教改革を待たねばならなかった。ただし,ドイツにおいては最初のドイツ語完訳聖書《メンテル聖書》が1466年に出版され,イギリスにおいても14世紀末ウィクリフの提唱のもとに一門の人々が完成した全訳《ウィクリフ派英訳聖書》(1385ころ,改訳1395ころ)が見られるが,その完成後直ちに教会当局の厳しい弾圧を受けたこと,またなお印刷期以前であったため,この英訳聖書は広く流布するに至らなかった。 中世における聖書翻訳がいずれもラテン語訳聖書からの重訳であり,おもに写本の形で限られた範囲内の流布にとどまったのに対して,原典であるヘブライ語旧約聖書,ギリシア語新約聖書からの直接訳を試み,印刷本として広く流布される近代語聖書翻訳は,《ルター訳聖書》(新約1522,完訳1534)を嚆矢とする。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」