世界大百科事典(旧版)内の《カイエ・ダール》の言及
【オブジェ】より
…このような物体観は,迫真的に描かれた物体が現実にはありえない関係に配置されるダリ自身の絵画を含めて,映像のポエジーと神秘を著しく増幅させた。36年にシュルレアリスムのオブジェ展がパリで開かれ,それを機に《カイエ・ダール》誌がオブジェ特集号を出したが,そこには自然物,未開人の呪物,レディ・メード,モビール,数学,夢,幻影,語るオブジェ,解釈されたオブジェなどの分類が試みられている。だが,以上のオブジェを通観すると,ルネサンス以来のレアリスムに内包されるイリュージョン性を打破するため,身近で生(なま)な素材を導入して作品を日常的現実に近づける要求と,その組合せを再び謎のように〈異化〉して,あらゆる芸術作品の虚構性をあばく要求と,矛盾した両極の均衡がひそみ,人間と物質,主観と客観の西欧的二元論からの脱出願望が底流となっていることがわかる。…
※「《カイエ・ダール》」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」