《ドルジェル伯の舞踏会》(読み)どるじぇるはくのぶとうかい

世界大百科事典(旧版)内の《ドルジェル伯の舞踏会》の言及

【心理小説】より

…そこでは,作者が作中人物の心理の動きを分析的言語で解説し,とくに恋愛過程における彼らの志向のすれ違いを,自己の感情についての錯覚や相手の感情についての誤解が織りなす悲劇的あるいは喜劇的事件の連鎖によって描くのが特色となっている。その極致がラディゲの《ドルジェル伯の舞踏会》(1924)で,古典的な硬質の文体でシニックに解剖された心理の交錯が,象牙の駒のかち合う音の響く将棋ゲームのような抽象化に達している。日本でも,大岡昇平の《武蔵野夫人》や三島由紀夫の《愛の渇き》にその強い影響が見られる。…

【ラディゲ】より

…第1次大戦下の銃後の人妻と少年との不倫の恋を描いた小説《肉体の悪魔Le diable au corps》(1923)の発表によってにわかに文名は高まるのであるが,その数ヵ月後に腸チフスのために,彗星のように忽然と他界してしまった。しかし,遺稿として出版された小説《ドルジェル伯の舞踏会Le bal du comte d’Orgel》(1924)は,ラ・ファイエット夫人の《クレーブの奥方》の奇跡のような現代的再現として絶賛された。ほかに,詩集《燃える頰》(1925),戯曲《ペリカン家》(1921上演)などがある。…

※「《ドルジェル伯の舞踏会》」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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