《一遍聖絵》(読み)いっぺんひじりえ

世界大百科事典(旧版)内の《一遍聖絵》の言及

【一遍上人絵伝】より

…各種多様な遺品が存するが,二つの系統に大別される。まず《一遍聖絵(ひじりえ)》12巻(歓喜光寺蔵,ただし第7巻は東京国立博物館蔵)は絵巻としては珍しく絹本に描かれ,第12巻奥書に正安1年(1299)8月,聖戒(しようかい)が詞書をつくり,法眼円伊が絵を描き,藤原経尹が外題を書いたことを記している。このいわゆる聖戒本は一遍没後10年目に,一遍の近親でもあり高弟でもあった聖戒と,やはり一遍の身近にあったと思われる円伊が,数名の画家を統率し,報恩報徳の念をこめて制作したもの。…

【鎌倉時代美術】より


[後期の絵画]
 13世紀後半は社会全般からみても,蒙古襲来を契機に京畿から東国への人の動きがさらに西国の端まで達し,彼らの視野の広まりは美術工芸にも影響したと思われる。伝存する主要な絵巻の多くがこの時期に制作されていて,《華厳五十五所絵巻》(東大寺)のような経典説話,《紫式部日記絵巻》(五島美術館等)のような物語絵,《蒙古襲来絵詞》(御物)のような合戦絵があり,北野天満宮などの社寺縁起絵と,1299年(正安1)制作の《一遍聖絵》(円伊作。京都歓喜光寺等)に代表される高僧伝絵は特に盛行した。…

※「《一遍聖絵》」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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