《三国長吏由来》(読み)さんごくちょうりゆらい

世界大百科事典(旧版)内の《三国長吏由来》の言及

【被差別部落】より

… 一方,白山信仰は,加賀白山の信仰にかかわるものであるが,被差別部落と白山信仰との関係は,とくに東日本各地において深く,少なからぬ数の被差別部落が氏神として〈白山神〉をまつりつづけてきている。その理由については未解明の点が多く,今後の研究にまつところが多大であるが,近年の民俗学的研究では,関東,中部地方の被差別部落に伝わる《三国長吏由来》(いわゆる〈河原巻物〉の一種)に見える〈長吏〉(葬儀に従事した被差別民)とその役割・機能・宇宙観に注目して,〈白山神〉が,概して加賀白山とのつながりを強調されている場合は〈ハクサン〉といい,色彩の白に関する伝承がまつわっている際には〈シラヤマ〉と呼び慣らわされている事情のもつ意味や,この神が悪疫を打ち払う力のある〈祟り神〉であるとともに〈血穢〉〈死穢〉をも厭(いと)わず来臨して〈生・死・再生〉にかかわる神ではないかということなどが総合的に考え合わされつつあるのは,内容のいっそう豊かな被差別部落史研究を築き上げるためにも重要なことと思われる。
[幕末の動き]
 ところで19世紀に入ると,被差別部落に対する差別はさらに深まり,今日では信じがたいような差別が現出する。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」