世界大百科事典(旧版)内の《人類の発展における自然の歩みに関する私の探究》の言及
【ペスタロッチ】より
…彼を一躍有名にした教育小説《リーンハルトとゲルトルートLienhard und Gertrud》(1781‐87)では,教育による民衆の道徳的更生と自立というテーマが,家庭教育の場としての〈居間〉の思想を軸に展開された。89年勃発のフランス革命から衝撃を受けて,近代人の主体形成の問題が考究されたが,その成果は社会哲学および人間学上の主著《人類の発展における自然の歩みに関する私の探究Meine Nachforschungen über den Gang der Natur in der Entwicklung des Menschengeschlechts》(1797)に結晶した。彼は本書において,人間の自然的・社会的・道徳的3状態に対応するものとして,人間が〈自然の作品〉であり〈人類の作品〉であるとともに〈自己自身の作品〉であると明言しているが,自己形成の自由な主体としての〈人間〉というこの把握は自律的な近代教育学の起点であり,それ以後の彼の活動を支える原点でもあった。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」