《働く人々の病気》(読み)はたらくひとびとのびょうき

世界大百科事典(旧版)内の《働く人々の病気》の言及

【鉱山病】より

…パラケルススは《鉱夫病》(1567)という専門書を著し,塵肺や金属中毒の因果関係を初めて見抜いた。続いて労働医学の祖といわれるラマッツィーニBernardino Ramazzini(1633‐1714)は《働く人々の病気》(1700)で〈鉱夫の病気〉を冒頭に掲げ,その病因と症状を詳しく論じた。 日本でも,鉱山開発が急速に進められた江戸時代になると,鉱山労働者に職業病が発生し,また近隣に鉱毒による公害をもたらした。…

【産業衛生】より

…16世紀のG.アグリコラの著書《デ・レ・メタリカ》には,すでに鉱山における科学的な研究の体系が記されているが,そのなかには坑内の排水,換気などの環境整備のための衛生工学の実際,坑内の環境や労働の非衛生的な状態による災害や病気の生々しい記録が詳細に記され,鉱山を維持するための工学,衛生学,社会経済学の総合の必要性が述べられており,産業衛生の基本的認識がすでにできあがっていることがうかがえる。同じころパラケルススの《鉱夫病とその他の鉱山病》(1533‐34),ついでシュトックハウゼンの《一酸化鉛の有害煙気による病気と鉱夫肺労》(1656)が著され,やがてイタリアのラマッツィーニBernardino Ramazzini(1633‐1714)の《働く人々の病気De morbis artificum diatriba》(1700)が現れ,ヒッポクラテス以来の職業と健康に関する知識が集大成された。ほぼ同時代の日本には,佐渡の金山で,坑内の換気のために通気坑を3年がかりで掘ったという記録(1663)や,珪肺(よろけ)の記録(1756)があるが,産業の規模は小さく,産業衛生活動はヨーロッパとは比べられないほど遅れていた。…

【職業病】より

…これについてはパラケルススも《鉱夫病》(1567)の中で述べており,原因はヒ素あるいは放射能と考えられる。 ヨーロッパに工場制手工業が発達しはじめた1700年に,イタリアの医師ラマッツィーニBernardino Ramazzini(1633‐1714)によって職業病の古典といわれる《働く人々の病気》が書かれた。そこには鉱夫,鍍金屋,化学者,陶器師,鍛冶屋,薬剤師,染物屋,油製造人,石屋,織物工,農民,漁夫など50余の職種について,その労働環境に起因する疾病が詳細に記述されている。…

※「《働く人々の病気》」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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