《大般涅槃経》(読み)だいはんねはんきょう

世界大百科事典(旧版)内の《大般涅槃経》の言及

【涅槃】より

…これらのとくに漢訳の経典に基づいて広く描かれたのが〈涅槃図〉で,そのなかには釈迦の涅槃をめぐるさまざまな伝説が描き加えられている。また,大乗経典中には同じような名称の《大般(だいはつ)涅槃経》が存在するが,その内容は上記の2経とはまったく異なり,〈仏身常住(ぶつしんじようじゆう)〉(悟りを開いた仏の身体は法として永遠に存在する),〈悉有仏性(しつうぶつしよう)〉(すべての人間は仏となりうる可能性を有している)などを強調している。したがって,この《大般涅槃経》は釈迦の涅槃についての直接的な記事はほとんど含んでいない。…

【涅槃図】より

…涅槃は釈尊の一生の中での重要事跡として釈迦八相などの一つにとり上げられ,インドでも早くから造形美術の対象とされてきたが,大乗仏教においては釈尊の死は精神的に昇華され,仏身あるいは仏法の永遠性を象徴する事跡として一段と重んぜられ,涅槃図は仏教絵画の中の代表的主題の一つとなった。涅槃図の典拠となったのは,5世紀に漢訳された《大般(だいはつ)涅槃経》のほか,同経に後世付加された〈大般涅槃経後分〉などであり,これらによって涅槃図の構成および登場人物が説き示される。このような状況を反映して涅槃の造形美術は大乗仏教下のインドをはじめ中央アジア,敦煌,中国本土に盛んに行われ,インドやその周辺では浮彫像や彫像を主体とするが,中央アジアから中国本土にかけては壁画(涅槃像のみ塑造とする例もある)による作例が少なくない。…

※「《大般涅槃経》」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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