世界大百科事典(旧版)内の《日本中世の村落》の言及
【清水三男】より
…逮捕以前の清水は東寺領・東大寺領荘園を個別的にとりあげ,マルクス主義的視点からその内部構造,諸階層の矛盾を究明することを通して,日本の封建制度の研究を進めていた。その独自な見方は荘園の中の村や座・市への着目にすでに現れていたが,〈転向〉後の清水はそれを全面的に展開,主著《日本中世の村落》を完成した。荘園をマナーと比較する当時の主流的見解を批判,制度としての荘園にとらわれぬ村落生活に農民の真の姿を追究した清水は,民俗学,地理学との協力の必要を強調する一方,荘園よりも国衙領に,在地領主の私的な支配よりも公的機能をもつ守護に注目し,荘園制を国制ととらえる観点を確立した。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」