世界大百科事典(旧版)内の《旧事本紀玄義》の言及
【慈遍】より
…卜部氏の系図などには後世の付加が多く,経歴は不明の部分が多いが,幼いとき出家して公尋の弟子となり,後醍醐天皇に厚く信任された天台座主慈厳僧正に仕え,法印に任ぜられた。鎌倉時代末の討幕気運の高まりのなかで,伊勢外宮の祀官度会(わたらい)(檜垣)常昌と交わって伊勢神道の影響を受け,《神懐論》《旧事本紀玄義(くじほんぎげんぎ)》《旧事本紀文句》《大宗秘府要文》《神祇玄要図》《神皇略文図》《古語類要集》《天地神祇審鎮要記》《豊葦原神風和記》などを著した。その神道説は,伊勢神道の教説の展開に天台教学の理論を援用したもので,主著《旧事本紀玄義》では神本仏迹の論を説いたうえ,天皇を宇宙の元始神の正系を引き,天を父,地を母とする存在であると論じ,神道の政治論を展開して皇徳,皇位,神器について説いている。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」