《有閑階級の理論》(読み)ゆうかんかいきゅうのりろん

世界大百科事典(旧版)内の《有閑階級の理論》の言及

【金利生活者】より

…金銭の貸借は古くから行われていたから金利生活者の存在もそれとともに古いが,18世紀以来,貸幣経済が広がり深まるとともに産業(=勤勉=インダストリー)が発展し,工業・商業中心の経済観が支配的となるなかで,年金,地代,配当,公債利子などの収入で暮らす金利生活者は寄生的・退嬰的イメージをもつにいたった。 金利生活者は〈働かずに食べていける〉人々だともいわれ,その生活ぶりは典型的にはベブレンのいう〈有閑階級〉である(《有閑階級の理論》1899)。すなわち無為,怠惰,有閑の印象を与える一方では,消費生活は奢侈(しやし),浪費的であり,金銭的活動においては計算高く,抜け目なく,詐術的でさえある。…

【衒示的消費】より

…たとえば,きわめて高価な商品を社会的威信をうるために消費するような現象がそれにあたる。T.ベブレンが《有閑階級の理論》(1899)でこうした種類の消費を論じたことにちなみ,〈ベブレン効果Veblen effect〉ともよばれる。ベブレンによれば,上層階級は生活維持のための労働を免れており,政治,軍事,宗教,スポーツあるいは学問などの活動にもっぱら従事する。…

【制度学派】より

…この3者の間にも多くの理論的および思想的な違いがあるが,おおまかにくくれば,功利主義的な快苦の心理法則にもとづく個人主義的社会観にかえて,政治的,社会的そして文化的な諸要因との深いつながりのもとに創造され進化していくものとして経済制度をとらえる観点を採用するところに,制度学派の本質がある。 とくにベブレンは,《有閑階級の理論》(1899)や《営利企業の理論》(1904)などの著作によって,ひときわ異彩を放っている。彼は,人類学,心理学,哲学および言語学などに及ぶ該博な知識を駆使して,経済行為の象徴分析あるいは精神分析とでもいうべきものをくりひろげたのである。…

【ベブレン】より

… ベブレンのいう〈制度〉とは慣習の体系のことであって,また〈慣習〉とはいろいろの象徴的な意味が社会的に共有され定型化されたもののことである。この意味での制度が歴史的に生成し,発展し,瓦解していく過程を,おもに進化論的な見地に立って叙述したのがベブレンの仕事であり,その代表的なものとして《有閑階級の理論》と《営利企業の理論》とがある。ベブレンの主張のうちで最も重要なものは本能instinctと制度institutionの二元論である。…

※「《有閑階級の理論》」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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