《渦巻ける烏の群》(読み)うずまけるからすのむれ

世界大百科事典(旧版)内の《渦巻ける烏の群》の言及

【黒島伝治】より

…その後,島で療養しながら,23年処女作《電報》,《窃む女》を書き,25年再度上京,26年《文芸戦線》に《銅貨二銭》《豚群》を書いて同人となる。28年反戦小説《渦巻ける烏の群》を《改造》に発表。29年済南事件(山東出兵)取材のため大陸を旅行して《武装せる市街》を書き30年刊行するが発禁。…

【戦争文学】より

…【編集部】 戦争を肯定しながらも,人間的な批判の目をむけた作品として,明治期には国木田独歩の《愛弟通信》(1894‐95)や,田山花袋の《一兵卒》(1908),森鷗外の《うた日記》(1907),ほかに,職業軍人によって書かれた日露戦争の記録として,桜井忠温(ただよし)《肉弾》,水野広徳《此一戦》などがある。明確な反戦・反軍的な作品が現れたのは,シベリア出兵の体験に取材した黒島伝治の《渦巻ける烏の群》(1928)以後で,昭和初期にかけて,立野信之《軍隊病》(1928),黒島伝治《武装せる市街》(1930)のほか,左翼文芸家総連合編の《戦争ニ対スル戦争》(1928)などが書かれた。やがて日中全面戦争が勃発し,石川達三の《生きてゐる兵隊》(1938)が発禁となって,以後,中国大陸に派遣された〈ペン部隊〉とよばれる従軍作家たちは,戦争を全肯定する立場でしか作品を書けなくなった。…

※「《渦巻ける烏の群》」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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