《無垢浄光大陀羅尼経》(読み)むくじょうこうだいだらにきょう

世界大百科事典(旧版)内の《無垢浄光大陀羅尼経》の言及

【印刷】より

…陀羅尼は梵語dhāraṇīの音訳で,仏教経典の呪文を意味する。奈良朝の称徳女帝は764年(天平宝字8)の恵美押勝の乱の平定後に発願して高さ4寸5分の木製小三重塔百万個を造り,その中に《無垢浄光大陀羅尼経》からの〈陀羅尼〉を印刷したものを収め,奈良を中心とした十大寺に寄進した。この〈陀羅尼〉には4種類があるが,その1枚が小塔に収められた。…

【版本】より

…今のところこれよりも古い年代をもつ中国の木版印刷物は発見されていないが,おそらく玄宗時代(8世紀前半)にはかなりの発達を遂げていたにちがいない。なぜなら唐の文化の影響下にあった日本では,玄宗を去ること遠くない770年(宝亀1)に《百万塔陀羅尼》の印刷を行っており,また1966年に発見された韓国仏国寺の《無垢浄光大陀羅尼経》は8世紀前半のものと推定されるからである。 同じく中国で完成した製紙術は,8世紀にサマルカンドに伝わり,12世紀の初めにはモロッコからスペインに渡り,1189年にはピレネー山脈を越えてフランスにもキリスト教国として最初の製紙場設立をみ,一方,ダマスクスですかれる紙はコンスタンティノープル(イスタンブール)を経て盛んにヨーロッパへ輸出されていたが,中国の木版印刷は,13世紀にモンゴル族が中国とヨーロッパの交渉を頻繁にするまで,ふしぎにもヨーロッパへ紹介されずにすぎた。…

【百万塔】より

…これらの小塔は鎮護国家の目的で大安寺,元興寺,興福寺,薬師寺,東大寺,西大寺,法隆寺,弘福寺(川原寺),四天王寺,崇福寺の十大寺に分置されたが,現存するのは法隆寺の4万数千基のみである。【森 郁夫】
[百万塔陀羅尼]
 法隆寺に蔵されるものについて検するに,陀羅尼は,則天武后の時代に中国へ来たトハラの人,沙門弥陀山が漢訳した《無垢浄光大陀羅尼経》に説く6種の陀羅尼のうち,根本(40行),相輪(23行),自心印(31行),六度(15行)の4種を選んで印行したもの。大きさは縦5cm内外,横は陀羅尼によって不同であるが,15~50cmくらい。…

【仏国寺】より

…相対する多宝塔の特異な構造形式は釈迦塔ときわだった対照をなし,いずれも新羅時代の代表的石塔で,朝鮮建築中の最もすぐれた作品である。釈迦塔の第3層塔身上部の舎利孔からは,金銅・銀製の舎利函3点とともに,1966年,新羅木版の《無垢浄光大陀羅尼経》が発見された。これは8世紀前半のものと推定され,現存する世界最古の印刷物とされている(〈印刷〉の項を参照)。…

※「《無垢浄光大陀羅尼経》」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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