世界大百科事典(旧版)内の《牡丹灯籠》の言及
【怪談】より
…怪異を語り,または記録したものを,古くは〈志怪〉とよび,宋代では〈霊怪〉とよんで講談の題材にもなっていた。近世では《剪灯新話》《聊斎志異》《子不語》などは,これらの怪異談を多く載せた記録または小説作品で,《剪灯新話》の《牡丹灯記》が日本の怪談《牡丹灯籠》の原話となったような例もある。【沢田 瑞穂】
[日本の怪談文学]
日本の場合は,固有信仰と仏教の葛藤のうえに,早くから怨霊の思想が発達していたが,平安朝以降になると,それは一方では〈鬼〉の思想となって《今昔物語集》《宇治拾遺物語》《古今著聞集》の説話のある部分を占め,他方では,陰陽道にむすびつき〈物の怪(もののけ)〉の思想となって,《源氏物語》《栄華物語》などの,凄惨な生霊・死霊の描写などに現れた。…
【怪異談牡丹灯籠】より
…通称《牡丹灯籠》。(1)人情噺の作品。…
【剪灯新話】より
…清初の《聊斎志異(りようさいしい)》もこの系統に属する。日本では江戸時代の《御伽婢子(おとぎぼうこ)》以下この書に取材した作品が多く,特に《牡丹灯記》を改作した三遊亭円朝の《牡丹灯籠》は有名。【村松 暎】。…
【骨】より
…オデュッセウスらを魅した海の魔女セイレンたちの座るあたりには人骨がうずたかく積もっていた(ホメロス《オデュッセイア》)。浅井了意の《伽婢子(おとぎぼうこ)》には《剪灯新話》の〈牡丹灯記〉から得た,萩原新之丞が白骨とむつみ合う〈牡丹灯籠〉の話や,長間佐太(ながまのさた)が白骨に抱きつかれた話(原話は《暌車志(けいしやし)》にある)などがある。 有史以前の人類が人や動物の頭蓋骨や長骨を生活用品や武器として用いていたことは遺物からも明らかである。…
※「《牡丹灯籠》」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」