《虞美人草》(小説)(読み)ぐびじんそう

世界大百科事典(旧版)内の《虞美人草》(小説)の言及

【エゴイスト】より

…ウィロビーは純情なレティシアを軽べつして才女クレアラに求婚するが拒絶され,もはや自分を愛していないレティシアと結婚せざるをえなくなる。華麗な文章と機知に富んだ会話は夏目漱石の《虞美人草》に影響を与えたが,喜劇的精神は抜け落ちている。【海老根 宏】。…

【新聞小説】より

…また新聞の性格と関連して,季節感や時事性も重視されていた。たとえば尾崎紅葉の《金色夜叉(こんじきやしや)》(1897‐1902)の有名な歌留多取りの場面は松の内に読まれるように工夫されており,夏目漱石の《虞美人草(ぐびじんそう)》(1907)では,連載直前まで開催されていた上野の勧業博覧会がストーリーの展開のかなめになっている。これらは新聞小説のアクチュアリティとしてきわめて効果的であった。…

【夏目漱石】より

…すでに40歳であった。入社第1作《虞美人草》は,一文を草するのに俳句を一句ひねるがごとき苦心を重ね,美文に陥る嫌いはあるが,一見古めかしい勧善懲悪の意匠の下に卓抜な文明批評をおこなっている。つづく《三四郎》(1908),《それから》(1909)では文明批評とからませた人間の存在追求に深さを増し,《門》(1910)にいたって片隅に生きる男女の日常を描いて,澄んだ静謐(せいひつ)な形而上的感触を暗示する作風を示した。…

【日本映画】より

… これとは別に松竹は,1920年の《島の女(むすめ)》(木村錦花監督)を皮切りに商業主義による映画製作にとりかかった。この松竹第1回作品の撮影をしたのが,ハリウッド帰りのカメラマン・ヘンリー小谷で,蒲田撮影所のスタッフにアメリカの撮影技術を伝授し,みずから監督もした《虞美人草》(1921)はヒットして,主演の栗島すみ子を最初のスター女優にした。《虞美人草》は内容的には旧来の新派となんら変わらなかったが,松竹はこの路線の映画を量産するに至り,ヘンリー小谷は早くも21年に松竹を離れた。…

※「《虞美人草》(小説)」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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