選挙運動にかかる費用の高額化を回避し,同時に,経済力の劣る候補者にも最低限の平等な選挙運動の機会を保障するために,国や地方自治体が,候補者に郵便,放送などの公的施設の利用を認めたり,候補者の人物,政策などの周知を図って公報を頒布したり,選挙運動経費の一部を負担したりすること。選挙公営は諸外国でも広く実施されているが,日本でも1925年以来しだいに拡充されており,現行の選挙公営の施設としては,選挙用無料郵便はがきの交付,ポスター掲示場の設置,新聞の無料広告,選挙放送(政見放送,経歴放送),立会演説会の公営,個人演説会施設の公営および無料使用,選挙公報の発行,交通機関の無料使用などが挙げられる。もっとも,選挙公営は,それにともなって法定外文書図画の頒布が禁止ないし制限されたり,選挙公営化による泡沫候補の増大を抑制するために,法定得票に達しない候補者から選挙公営にかかる費用の一部が取り立てられたり(供託金制度),選挙公営の便宜供与を受ける政治団体が制限されたり(確認団体制度)することにより,選挙運動の自由を制限し小政治勢力の活動を妨げるなどの弊害も伴っている。
執筆者:日比野 勤
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
国または地方公共団体が候補者の選挙運動に対して各種の便宜を与え、その経費を負担する制度。日本では1925年(大正14)に始まり、それ以来しだいに拡充されてきた。現行制度としては、〔1〕選挙管理委員会が実施するものとして、ポスター掲示場の設置、選挙公報の発行、〔2〕施設提供として、個人演説会の公営施設使用、〔3〕公費で経費を負担するものとして、選挙用葉書、選挙運動用ビラ・ポスター、新聞広告、政見放送および経歴放送、選挙運動用自動車の使用、交通機関の無料乗車券などがある。選挙公営の本来の趣旨は、金のかからない選挙の実現と各候補者間の選挙運動の機会均等を図ることにあるが、現行制度においては、公営化に伴い公営以外の選挙運動の自由が大幅に禁止・制限されていること(たとえば法定外文書図画の頒布の禁止ないし制限)、小政治勢力に不利であること(たとえば法定得票に達しない候補者からは公営に要した費用の一部が取り立てられる)などの問題がある。
[三橋良士明]
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
(蒲島郁夫 東京大学教授 / 2007年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
…したがって,選挙期間中の選挙活動費用を制限しても政治活動費用として支出が可能である限り,あまり意味のないものとなっている。選挙運動
[選挙公営]
以上のように,選挙運動に厳しい規制が加えられている一方,国および地方公共団体が立候補者に対して各種の便宜をあたえ,費用を負担する選挙公営化が図られている。選挙はがきの支給,選挙公報,政見放送などはその例である(167条など)。…
※「選挙公営」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
米テスラと低価格EVでシェアを広げる中国大手、比亜迪(BYD)が激しいトップ争いを繰り広げている。英調査会社グローバルデータによると、2023年の世界販売台数は約978万7千台。ガソリン車などを含む...
11/21 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加