《過ぎし年月の物語》(読み)すぎしとしつきのものがたり

世界大百科事典(旧版)内の《過ぎし年月の物語》の言及

【キエフ・ロシア】より

…キエフ・ルーシ,キエフ国家ともいう。
[国家の成立]
 12世紀初めに編さんされたロシア最古の年代記《過ぎし年月の物語》によれば,9世紀半ばには,東スラブ人の有力部族ポリャーニン族がドニエプル川中流域に定住してキエフを中心とする小規模な国をつくっていた。上流域にはスモレンスクを中心とするクリビチ族がおり,さらに北方にはノブゴロドのイリメニ・スラブ族が勢力を張り,ポロツクにはポロチャニン族その他がいて,それぞれ共通の言語,習慣,信仰,交易活動を通じてゆるやかなつながりを保っていた。…

【スラブ神話】より

…それに対し西スラブ,南スラブについては資料も少なく,わずかに各地方のバリアントによって神格の存在を伝えるのみである。
[神々の起源]
 10世紀の東スラブに異教神のパンテオンが存在していたことを伝える数少ない記述の一つとして《原初年代記》(別名《過ぎし年月の物語》)がある。ここには雷神ペルーンPerunをはじめとして,家畜と富の神ベーレスVeles(ボーロスVolos),太陽神としてダージボグDazh’bogとホルスKhors,火の神スバローグSvarog,風の神ストリボーグStribog,女性労働の守護神モーコシMokosh’,七頭神セマールグルSemarglの名前があげられ,それらの偶像がキエフ大公ウラジーミルによってキエフの丘の上に建てられていたことが記されている。…

【ロシア年代記】より

…11世紀から17世紀まで,主として修道僧によって諸公やツァーリの宮廷あるいは修道院で編まれた。現在まで伝わっている最古のロシア年代記は,12世紀初頭に成立した《過ぎし年月の物語》(《原初年代記》あるいは作者の一人の名をとって《ネストルの年代記》と呼ばれることもある)で,写字生の名からラブレンチー本,所蔵していた修道院の名からイパーチー本とそれぞれ名づけられた2種類の写本がある。これはロシアの《古事記》にあたり,スラブ民族の成立,ロシアの建国からキリスト教への改宗,異民族との戦い,諸公間の内紛など12世紀初めまでのロシア最古の時期の歴史を興味深く物語っている。…

【ロシア文学】より

…それゆえ11世紀から13世紀半ばに至る200年間は〈キエフ時代〉と呼ばれている。この時期の代表的作品は《原初年代記》(《過ぎし年月の物語》)と《イーゴリ軍記》(《イーゴリ遠征物語》)である。前者は11世紀半ばからキエフの修道士たちによって書きつがれ,12世紀の10年代に完成したもので,さまざまな資料や異教時代の伝説を取り入れ,文学的価値の高い部分が多い。…

※「《過ぎし年月の物語》」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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