《道徳情操論》(読み)どうとくじょうそうろん

世界大百科事典(旧版)内の《道徳情操論》の言及

【スミス】より

…〈天文学史〉は,科学の体系が新しい事実にぶつかって動揺し,それを包摂するような(新しい事実を平明に説明しうるような)新しい体系にとって代わられる過程を述べたもので,やがてスミス自身が道徳哲学において,またとくに経済学において,そのような意味での体系の革新をなしとげることを,予感させる(衝撃を与える新しい事実は,前者については〈利己心〉,後者については〈労働〉である)。 グラスゴー大学教授としてのスミスは,有力な商人たちとの交友や,親友D.ヒュームの経済論文の影響などを通じて,すでに後年の経済的自由主義の基礎をつくっていたといわれるが,《道徳感情論(道徳情操論)The Theory of Moral Sentiments》(1759)によって,全ヨーロッパに学問的名声を確立した。それはスミスに,バックルー公の旅行付添教師として大陸に渡る機会を与え,彼は大学を辞任して,1764年1月から2年9ヵ月にわたりフランスとスイスを旅行する。…

【道徳感情論】より

…1759年刊。《道徳情操論》ともいう。人間の心理のなかで,人間どうしの社会的な交わりによって生ずる感情,性向などをとりあげ,道徳的適正感,功績と罪過の感覚,是認と否認に関する判断力と義務の感覚,有徳の性格などについて論じている。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」